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生活保護費で大麻購入の20代男性、申請却下され役所で職員をスマホ撮影の一部始終【裁判傍聴記】

大阪地裁は9月18日、威力業務妨害、麻薬取締法違反で起訴された20代の男性被告人の公判を開き、検察官は拘禁刑2年を求刑して結審した。

被告人が、威力業務妨害として問われた犯行内容というのは、生活保護の申請を却下されたことに不満を抱き、スマートフォンを撮影状態にして、職員の制止も聞かずに区役所の執務室に侵入して撮影を行い、職員の業務を妨害したというものだった。

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近年、カスハラ(カスタマーハラスメント)が社会問題化し、今年10月1日からは各企業はカスハラ防止のために、必要な措置を講じることが義務付けられている。SNSを開けば、炎上を狙ったようなカスハラと捉えられる行為の投稿も多々あるが、それに対して毅然と対応する企業の姿勢を称賛するような流れもできつつあるように感じる。

ただ、行政機関もカスハラ対策の措置が義務付けられているが、一般企業とはまた勝手が違うのではないかとも推察される。そんな役所職員の苦悩の一端を感じさせるような裁判だった。

侵入の制止に対して「ちょっとでも触ったら、やるからな」と威圧

被告人は20代という年齢以上に見た目が若く、大人しそうにも見え、事件のような行為を起こす人物とは結びつけにくく感じた。しかし、事件やその主張は、その印象を覆すものであった。

被告人質問によると、被告人は幼少期より精神に不安定さを抱えており、事件当時は就労どころか外出もままならなかったという。母親と同居をしていたが、生活は苦しく家を出ることになった。

役所に生活保護の申請に行くも、精神病の診断書がないことなどを理由に却下された。被告人は「事前の問い合わせで、診断書がなくても通ると説明を受けた」「(職員の対応の)証拠を残す」などと言って撮影にいたった。また逮捕されて、食事にありつきたい思いもあったと供述し、相応に困窮していた状況がうかがわれた。

なお検察官からの質問で、受診の指示が出ているという履歴を示すも、被告人は頑としてそれを認めなかった。

役所職員は、執務室に侵入してきた被告人を制止するため業務が止まったのみならず、個人情報を扱うパソコンや書類などをカメラから隠すなどの対応に追われた。職員が被告人の身体に触れようとすると「ちょっとでも触ったら、やるからな」と手を上げたり、撮影を続けながらその場で菓子を食べたりしていたところで通報された。

医師の助言よりもネットの声を優先

被告人はその場では逮捕されず、また後日には生活保護の支給が決定した。しかし、被告人はその保護費の一部を大麻の購入に充てた。

前述の通り、被告人は精神に不安定さを抱えており、睡眠不足などに悩んでいたという。インターネットの反応から「医師の処方薬は依存が恐い」「大麻は夜寝れないときに一番いい」などと思いこんだという。

検察官「睡眠不足や睡眠薬の不安について医療機関に相談しなかったんですか?」

被告人「相談したら、睡眠薬は最近身体への負担がマシなのありますよ、と」

検察官「それ聞いてどう思った?」

被告人「これまでも、患者にこういう風に言ってきたんだろうなと」

検察官「それで専門家が言うことを信じなかったと?」

被告人「ネットの専門家が言うんで」

検察官「ネット以外で情報調べたりしてないんですか」

被告人「調べる必要はありません」

頑として聞き入れない被告人。裁判官が「大麻の規制には納得いっていない?」と問うと「そうですね」と答えた。

不安が残る裁判以降の生活

弁護人は最終弁論にて、役所の撮影は「窮状の中、精神的余裕がなく行ったもの」、大麻の使用については「長く睡眠に悩んでおり、快楽目的ではない」などとして酌量を求めた。

しかし筆者が一番気になったのは、ネットの声を盲信したり、裁判でも自身の考えを頑として変えない姿勢であった。今後、生活を見守る人物についても不明瞭で、雇用の見通しなども立っていない。

裁判としては起こした事実への判決が下されれば終結するが、20代の被告人の人生はまだまだ続く。なんとも言えない不安を拭えないまま、裁判は終了した。

文/普通 内外タイムス

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