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スパイ容疑で拘束された道新ロシア駐在記者が伝えていた北朝鮮労働者の実態 深まるロシアの「北朝鮮依存」

サハリン州(旧日本領・樺太)のユジノサハリンスクに駐在する北海道新聞の記者が13日、ロシア連邦保安局(FSB)にスパイ容疑で拘束された。FSBは「ウクライナ侵攻に伴い、北方領土などから出征した動員兵や志願兵の人数に関する情報を収集していた」と主張しているが、詳しいことは分かっていない。

スパイ罪で有罪となれば、最長20年の拘禁刑が科される可能性がある。日本外務省はロシア側に抗議し、記者の人道的な取り扱いなどを求めた。

ウクライナで捕虜となった北朝鮮兵 軍事演習との説明も実際は戦闘に投入「目の前で戦友が次々倒れた」

今回の拘束には、捜査だけでなく、対日圧力や外交交渉をにらんだ政治的な思惑があるとの見方も出ている。ロシアでは過去にも、外国人記者がスパイ容疑で拘束され、外交交渉を経て釈放された事例があるからだ。

拘束された記者は、現地に根を張り、ウクライナ侵攻に揺れるロシア極東の実情や、北方領土をめぐる動きを伝えてきていた。

最近も現地で増加する北朝鮮労働者の姿を目撃し、拘束前にコラムにしていた。私も注目して読んだその内容の一部を紹介しよう。

「タバコをくれ」街角で出会った北朝鮮労働者

「サハリンで触れる北朝鮮」というタイトルで「まちかど」という特派員のコラムに掲載された。10月5日付で北海道新聞のウェブサイトにも上がっている。有料会員ではないと全文は読めないが、冒頭部分にはこう書かれている。

先日夜、自宅近くを歩いていた記者は、アジア系の男性2人に「タバコをくれ」と呼び止められた。身長は160センチ台。引き締まった体つきで、髪は短く刈り上げられ、顔は日焼けしていた。

男性たちが話すロシア語には朝鮮語なまりがあり、出身国を聞くと「セーベルナヤ・カレーヤ(北朝鮮)」と答えた。

ユジノサハリンスクで、北朝鮮労働者を見かけることは珍しくないが、この記者は「肌感覚では、2年前に赴任したころよりも(北朝鮮労働者の数が)増えた」と指摘している。

さらに記事は北朝鮮労働者の実態に迫っている。要約してみよう。

北朝鮮労働者が、ショッピングモールの宝石店で、商品を品定めする姿も見かけた。母国で待つ家族へのプレゼントを探しているようにも見えた。

市内の北朝鮮レストランでは、カラオケでソ連時代の有名な歌「モスクワ郊外の夕べ」を朝鮮語で楽しそうに歌う姿も目撃した。大学のキャンパスやホテルなど、市内で進む大型建設の現場を支えているのも彼らだと話す人もいる。

しかし地元では、彼らの生活や働きぶりはほとんど報道されない……

コラムは「日本と国交のない北朝鮮、その国の人びとの息遣いの一端に、サハリンで触れている」と締めくくられている。

末尾に、北朝鮮労働者が立ち寄るユジノサハリンスク市内の北朝鮮レストランの写真が添えられていた。

この光景は単なる街角の風景ではない。ロシアによるウクライナ侵攻が長期化する中、労働力不足が深刻化し、北朝鮮との協力関係が極東地域の労働現場にも広がっている実態を示すものだ。

極東から朝ロ関係の緊密化を伝える

北朝鮮の制裁履行状況を監視する多国間制裁監視チーム(MSMT)の第3次報告書によると、ロシア国内には1万5000~3万人の北朝鮮労働者がいると推計される。軍用ドローン製造、鉄鋼加工、造船、農業など、幅広い分野で働いている。

国連安全保障理事会の決議は、北朝鮮の外貨収入につながる海外労働者の送還を加盟国に求めている。しかし、ロシアでは学生ビザなどを利用した北朝鮮労働者の入国が増えているとMSMTは指摘する。

「サハリンで触れる北朝鮮」というコラムは、こうした朝ロ関係の緊密化を、街角で出会った労働者の姿を通じて伝えている。首都モスクワからは見えにくいロシア極東の実情を知る手掛かりでもある。

拘束の理由や背景は、まだ不明な部分が多いが、記者の早期釈放と、ユジノサハリンスクでの取材再開を願わずにはいられない。

文/五味洋治 内外タイムス

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