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タイでも命名・改名に関する法令改正が開始か かつて「アラレ」は受理 

タイでは日本のいわゆるキラキラネームのようなものはそもそも存在しないが、今、命名に関する法改正に政府が動き始めている。

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タイ内務省地方行政局が2026年9月7日~10月6日の期間、タイの「個人名法」(1962年施行)などの法改正案に対する意見を広く公募していた。2021年、あるタイ人男性の改名申請を担当官が自身の裁量で拒否したことで訴えられた件で、判決が今年4月に出て、7月になって報道されたことで話題になったため、改正が検討され始めたことによるものだ。最高裁の判決では男性の改名拒否は違法として、変更拒否の取り消しを命じるものだった。

タイでは命名に関するルールが先述の個人名法、「内務省・人名登録に関する規則」(2008年施行)などで定められている。日本の法令では常用漢字の使用などのほか、2025年にいわゆるキラキラネームへの対策としてふりがなに制限ができたが、タイの場合は以下のように受理する担当官の裁量に任される部分が少なくない。タイで定められる命名に関するルールは大まかにはこの8つになる(タイのメディア「sanook」参照)。

1.国王・王妃の御名、王室・貴族の称号と同じ、意図的に似せた名前は禁止

2.下品な言葉や不適切な意味を持つ名前は禁止

3.名前は1つの単語または音節として成立し、途中にスペースを入れてはいけない

4.接続語、文字、記号、特殊なマークなどを名前に加えてはいけない

5.意味または確認可能な訳語がなければならない

6.タイ語の正書法に従い、つづりや黙字記号を正しく使用しなければならない

7.習慣、伝統、社会の秩序に反する名前であってはいけない

8.不正な目的があってはいけない

タイは王国であることから王室に関係した名前、それに似せたものは禁じられる。2番6番7番にも共通するが、つづりを変えて発音を似せるなども認められない。これは出生時の命名だけでなく、改名にも適用される。日本では改名はよほどの事情が認められない限りは許可されない。タイも8番のように指名手配から逃れるなどの違法な理由は認められないとはいえ、占いなど運勢を気にして、といった実に簡単な事情で改名が承認されるので、毎年男女問わず多くのタイ人が改名している。

タイの名前で命名由来の一番は……

先の裁判においては「P.Thai」(ポー・タイ)という名前が辞書にはない、すなわち意味を持たない単語であること、記号が使用されていることなどから担当官は法に反すると判断。しかし、原告によればこの名はもともとの名前の略であること、すなわち意味があると主張し、それを最高裁が認めた。記号はアットマークなどでもなく、タイ語にももともとある文字なので問題ないとされ、さらに本来は一語である必要もあるものの、意味があると認定されたことからポー・タイは1単語ということにもなった。

タイでは仏教徒が多く、大半の人が仏教関連の用語から命名される。当然ムスリムはイスラム教に関連した名前だ。前述のように1単語であることが原則であるものの、宗教関連の言葉は長くなりがちである。いくらタイ人でも日常的にその名で呼ぶのはさすがに面倒だ。同時に、仏教伝来以前の精霊信仰の習慣として、悪霊に子どもがさらわれないようタイでは子にニックネームをつける。そのため、生活上ではニックネームを使用するので、本名にこだわりがあまりないタイ人も多い。

ニックネームもかつては動物の名称などをつける人が多かったが、徐々に精霊信仰の考え方からかけ離れていき、ファースト、ビール、将軍など外国文化からくるかっこいい名前にする人も増え、中にはニックネームを本名にしてしまうケースもある。あるタイ人女性は日本のマンガが好きで、自身の名前を「アラレ」に変えた。前述の8つのルールには違反しておらず改名が受理されたが、彼女の周囲の人からの反応は冷ややかだ。さすがにマンガの名前はタイ人にはふざけていると感じられた。

日本でも一時期はキラキラネームが増えていたのと同じように、命名は時代によって望まれる名前や感覚が変化していく。何度か改正があったものの、今再び、タイでも命名のルールが改められる時期に来ているようだ。

同時に、現行の法令は担当官の裁量にゆだねられる部分も大きく、たとえばこの人はダメでも隣の窓口に並び直したら承認されるということも起こりうる。タイの一般社会もすでにそういったあいまいな部分はだいぶ減っており、その点でも名前に関する法律は改正が必至といったところになる。

文/髙田胤臣 内外タイムス

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