希望退職者の枠に約2倍の応募 組織改革中の「サンウェルズ」に吹かない“新たな風”
パーキンソン病専門の有料老人ホーム「PDハウス」を運営するなどしているサンウェルズが、希望退職者の募集を行った。120人程度の募集に対して231人が応募しており、募集人数の約1.9倍が退職を希望していることが明らかになった。
2025年に第一生命ホールディングスが実施した希望退職者の募集では、1000人の計画に対して1830人が応募しており、こちらも計画の約1.8倍の従業員が退職を希望した。第一生命は通常の退職金に加え、最大48カ月分の基本給を上乗せして支給した。これにより、割増退職金の費用として290億円の特別損失を計上している。
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サンウェルズが出した「転身支援特別退職金」の費用は8900万円だ。実際に退職する人数は112人で、単純計算で1人あたり79.5万円。金銭的な優遇措置は第一生命より少ないことを考えると、サンウェルズからの退職を希望する人が多いようにも見える。
サンウェルズは2024年、訪問看護の診療報酬の過剰請求などの不祥事が発覚している。記録された睡眠状況を確認するだけの極めて短時間の業務であっても、30分の訪問看護という扱いで費用を請求するなどの不正を繰り返し、約28億円を水増しして請求していたことが判明したのだ。
第三者報告書によると、入居者や従業員などから指摘を受け、経営陣は費用請求の問題を把握していた。2022年4月には、当時の社長だった苗代亮達氏に意見書が提出された記録もある。30分を要したという訪問看護が、実際には5分程度で終わるといった現象が常態化していることを告発する内容だった。
サンウェルズの上場日は2022年6月で、上場前から問題点を把握していたことになる。この不祥事を受けて、東京証券取引所は2025年4月、サンウェルズに6240万円の上場契約違約金の支払いを求めた。
サンウェルズは苗代氏の報酬減額、一部経営陣の退任などの処分を下している。また、再発防止策として、入居者や職員への定期的な聞き取り調査の実施、問題が生じた際に経営側へ報告する経路の明確化などを決めた。
取締役に「不祥事の時期」の責任者
2026年6月、サンウェルズの社長に新俊彦氏が就任した。厚生労働省出身で、不祥事が発覚した後の2025年11月にサンウェルズの社外取締役として招かれた人物だ。組織内に新たな風を吹き込み、新氏もガバナンスの強化や信頼の再構築に力を入れると意気込みを語っている。
ところが、元社長の苗代氏は取締役として残ったまま。もう一人の取締役が上野英一氏だ。上野氏は常勤監査役を経て、2019年7月に取締役総務経理部長に就任した。会社が不正請求を行っていた時期に、管理部門の責任者を務めていた人物だ。社外取締役を除く取締役は、元厚労省の新氏、元社長の苗代氏、管理部門の責任者だった上野氏の3人だ。
サンウェルズの創業者でもある苗代氏は、個人で株式を12%以上保有する大株主でもあり、資産管理会社を通じた「間接保有」を含めると、持株比率は53%を超える。
新氏のように外部から来た社長の場合、経営に関する重要な情報は、既存幹部の説明に頼るしかない。ガバナンス改革が必要であると意気込んでいても、入ってくる情報が限定的であれば、改革の範囲が狭まる可能性がある。
サンウェルズは今回の不祥事を受け、再発防止策の策定や経営陣の処分、経営体制の変更を実施した。希望退職の募集に応募が相次いでいるのは、自浄作用への期待感が薄いことを示しているようにも見える。
経営陣には、制度の整備に加え、従業員が会社の将来や自浄作用を信頼できるだけの変化を示すことが求められているようだ。
文/不破聡 内外タイムス






