22年度の貨物輸送321㌧ 下地島空港、滞貨解消など目指し実証

 下地島空港は2022年度、マンゴーや生鮮野菜など321㌧の貨物輸送を取り扱った。出荷ピーク時の滞貨解消や農水産物の販路拡大など、宮古島市の抱える課題解消への寄与を目指し、市(座喜味一幸市長)は21年度から同空港での実証事業に取り組んでいる。3年目となる23年度も実証に取り組むため、現在事業者の公募を行っている。市の手を離れた民間事業として自立することが目標だが、コロナ禍で充分な検証が行えなかった課題もある。
 宮古島市での航空貨物需要は、通期の宅配便▽夏場のマンゴー▽冬から春にかけての生鮮野菜―が大半を占めている。22年度の下地島空港における貨物取り扱いは、冬季の天候不良による野菜出荷減少などが影響し、前年度を下回る月も多かった。マンゴーの出荷ピーク時には、羽田直行便1便・那覇経由便2便の3便体制で首都圏への輸送を行い、滞貨解消に寄与した。
 22年4月から23年2月までの11カ月間の輸送量は321㌧で、内訳は羽田空港行が301㌧、那覇空港が20㌧。首都圏への直通輸送の前提となる羽田空港発着枠は、トライアルでの成績が認められ正式な運航が決定している。
 下地島空港での航空貨物取り扱いには、市内3漁協など水産関係者からも期待が寄せられている。カツオは水揚げ当日の出荷が必要だが、航空便のスペースがない場合はやむを得ず市内に安価で出荷することもあるという。漁業最盛期の夏には、島内で海産物の値崩れが起きるという課題もあり、高い販売単価が維持できる流通経路の確保が望まれている。
 市の担当者は「滞貨や不利性の解消といった市の課題解決に資するためにも、下地島における貨物輸送の採算性などを検証するために、実証事業を行っている」と説明。市が予算を投じる実証は3年間で一区切りとなることが原則だが、コロナ禍で下地島での国際線運航が中断したため、検証が不十分になってしまった課題がある。「香港や台湾へ向けた販路が開ける可能性は、宮古空港にはない下地島の魅力。取り組めていないことは残念」と話した。
 23年度の予算限度額は、1445万円。これまでの結果を踏まえさらなる改善を図りつつ、宮古圏域第2の貨物取扱空港としての可能性を追求する。

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