高市内閣改造・党役員人事で「読売独り勝ち」の舞台裏、官邸からのかん口令で各社苦戦
9月16日、17日に行われた党役員人事と内閣改造。例年夏~秋に行われるのが恒例で、誰がどのポジションに就くのかをいち早く報じ、その裏にある思惑を読み解くのが新聞・テレビの政治部の腕の見せ所だ。
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各社の間では「どの社がどのポジションをいち早く報じるか」という報道合戦が繰り広げられ、特に今回の最大の焦点は鈴木俊一幹事長が留任するかどうかだった。
鈴木氏は高市早苗首相との関係が必ずしも良いとはいえなかったが、高市首相の総裁選勝利の立役者、麻生太郎副総裁と近く、鈴木氏を交代させると、高市首相と麻生氏との関係にもひびが入りかねず、来年秋の総裁選にも影響が出かねないため、幹事長人事に注目が集まっていた。
その鈴木氏の留任をスクープしたのは読売新聞だった。そのほかにも読売は、従来は大臣経験者が就く国対委員長に大臣未経験の村井英樹氏が就くことなどを報じた。
一方、ライバルの朝日新聞やNHKなどは、誤報にならないよう慎重な姿勢が目立った。その裏には過去の苦い経験がある。岸田内閣が発足した際に朝日新聞は「萩生田光一官房長官」を「スクープ」したものの、実際には松野博一氏が官房長官に就くことになった。NHKも、岸田内閣の改造時に防災担当相と復興相を間違えて報道したことがあった。
このような事態が起きるのは、重鎮からの反発があったり、入閣予定者にスキャンダルがあるなどの情報が寄せられたりすると、その人事が取り消されることがあるからだ。また、自派閥の入閣者とポスト名をいち早く知らされる派閥幹部が、内容を間違えて記者に伝えてしまい、それが報道されたこともあった。
派閥解消で情報統制も徹底
こうした過去の経緯もあり、マスコミの中には「派閥幹部だけでなく、本人に具体的なポスト名とともに打診があった」「首相本人から確認できた」といった事実があって初めて報道できる、などの厳しい基準を設けるようになった社も。
そのため現場の記者からは「報じるためのハードルが高いと、他社より遅れてしまう。デジタルで速報が重視される時代だが、他社より遅くなっても『打ち間違いゼロ』を誇る幹部の姿勢は、攻めに欠け、事なかれ主義だ」と疑問の声も上がる。
さらに、派閥がほぼなくなったことも、人事取材においては記者泣かせとなっている。以前は派閥ごとに、当選回数を重ねた入閣待機組などの推薦リストを官邸側に提出し、その中から官邸側が一定の閣僚を決めていた。
「以前は、官邸から派閥幹部に『あなたの派閥からは○○さんをこの大臣にします』という連絡が入るタイミングで、派閥担当の記者たちが居酒屋に集まり、代表の記者が派閥幹部に電話。そして取材結果をその場にいる記者たちに共有する、という横並び取材が行われていたことも。
現在は派閥がほぼなくなり、高市首相や木原稔官房長官といったごく一部で人事を決めていったため、人事が読みづらくなり取材が難航した」(全国紙政治部記者)
また、「高市流人事」は、こんなところにも。
「通常は内閣改造の前日に入閣者に対し、電話で連絡が入るので、前日には全容が分かっていたが、今回は『マスコミに漏れたら代える』と官邸側が釘を刺し、当日にならないと顔ぶれがほとんど分からなかった。情報統制が徹底され、まるで独裁国家のようだった」(同)
議員も自分が重要ポストに就くかドキドキの数日間だったが、記者たちも「高市流人事」に神経をすり減らす数日間が幕を閉じた。
文/中村まほ 内外タイムス






