24年度の供用開始を目指し改修される市浄化センター =平良荷川取

汚水処理共同化、始動へ

市のし尿処理に関し、平良荷川取の下水道投入施設を改修する計画に沖縄防衛局から正式に補助金交付の内示が届いたことが17日までに分かった。し尿処理を所管する環境衛生課と下水道課を統合し新たに環境衛生局を新設することも、15日に決定した。市が伊良部佐和田に新し尿処理場を建設する計画を見直したことに議会が強く反発し、市長不信任案が提出されるなど紛糾してきたが、汚水処理の広域化・共同化に向けた取り組みが本格的に始動する。市は2024年度内の新施設供用開始を目指すとしている。

 現在荷川取の施設に搬入されたし尿は、20倍に希釈してから下水道施設に投入している。投入前に脱水処理を行い汚水と汚泥を分離することで希釈倍率を減らし、施設への投入量を減らすことを計画している。施設への負担軽減と受け入れ量増加が狙い。汚泥は上野の資源リサイクルセンターに運び堆肥化する計画。
 下水道とし尿の処理一元化に向け、上下水道部から下水道課を、生活環境部から環境衛生課を分離して新たに環境衛生局を創設する。15日に開いた行財政改革推進本部会議で決定した。両部の名称変更を伴うため、条例改正案を市議会3月定例会に提出する。
 兼島方昭上下水道部長は「基本計画設計策定に両課の密接な連携が必要になってくる。維持管理も一元化して行うという考え」と説明した。希釈倍率をどの程度まで下げるのが最も適切かなどを議論しながら設計を行っていくという。
 新計画は総額21億円の事業費を見込んでおり、うち3分の2が防衛省補助金。2021年度から22年度にかけて行う基本設計策定のうち、1328万円が補助対象。885万円交付の正式な通知が沖縄防衛局から届いており、後続事業の実施設計などについても補助金を申請していく。
 総事業費35億円で伊良部佐和田に新し尿処理場を建設する計画が21年の3月定例会で可決されていたが、その後市が計画見直しを進めていることが発覚。議会は大きく反発し、6月定例会では就任半年に満たない座喜味一幸市長に不信任案が提出される異例の事態となった。
 当時反対派の急先鋒だった市議は「計画を見直すと防衛省の補助金が受けられず、市の将来設計を大きく損なう」と批判していたが、新計画への補助金交付が正式に決定し、担当局も新設されることで、汚水処理の共同化計画が本格的に始動することになる。

関連記事一覧