米国3児殺害裁判で関心を得た「産褥期精神病」産後女性10人に1人が「産後うつ」を発症で国と自治体が助成
国内外で大きな関心を得た、米・マサチューセッツ州の裁判所が4日、我が子3人を殺害した罪で起訴された母親の裁判で、審理無効を宣言。被告側は、産後の精神疾患を患っていたとし、刑事責任を問われるべきではないと主張していたが、評決に至らなかった。
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事件が起きたのは2023年1月。元看護師のリンジー・クランシー被告は州内の自宅で当時5歳、3歳、8カ月の子ども3人を殺害したとして、第1級殺人罪3件で起訴された。検察は、被告が計画的、意図的に子どもたちを殺害したと主張。一方で弁護側は、幻聴などの症状が出る「産褥期(さんじょくき)精神病」を発症し、自分の行動をコントロールできない状態だったとして、無罪を訴えていた。
この裁判をめぐり、産後の女性の心の健康をめぐる議論に発展。裁判所の前にはピンク色の服などを着て被告に連帯を示す人たちが集結し、「これはアメリカが新米ママを軽視し、母親のメンタルヘルスを適切にケアできていない証拠だ」といった、女性を中心に同情する声も広がっていた。
「産褥期精神病」は、産後の女性の1000人に2人以下が発症する、まれな精神疾患だ。産後うつと比べて症状が重く、出産後4週間以内に現れることが多い。主に「不眠や睡眠の急激な悪化」「いら立ち、不安、激しい気分の変動」「妄想や意識の混乱」「自分の身体や人格から切り離されたような感覚」「幻聴や幻視」といった症状が現れ、治療には心理療法や薬物療法、患者の状態の管理などが含まれる。
昨年5月、日本でも生後4カ月の長男を殺害したとして、埼玉県警が同県戸田市の母親を殺人の疑いで逮捕。母親は容疑を認め、「産後うつがつらかった」などと供述していた。母親は同年4月、長男を自宅の浴槽に沈め殺害。夫から110番通報があり、警察がJR戸田駅構内で長男を抱いている母親を発見した。
2023年に日本産婦人科医会が行った調査によると、産後の女性10人に1人が「産後うつ」と呼ばれる心の不調を経験し、なかには「産後うつ」が原因で子どもへの虐待、育児放棄につながってしまうケースもあると伝えている。
こども家庭庁では、産後ケアとして0歳児のいる母親が心身を休められるよう、自治体から委託された助産院や病院が育児を手伝ったり、相談に乗ったりする事業への助成を行い、助産師による「居宅訪問型」や母親が病院などに泊まる「宿泊型」、保健センターへの「通所型」が選択できる。
一部では、「産後精神病と呼ばれているが、実際には気分障害」といった見解も述べられており、理解を得るにはまだまだ時間が必要ともいえる。だからといって、我が子に手をかけることだけはあってはならない。






