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【投稿】統計が示す警鐘:「命の水」と「子供たちの健康と未来を守る」決断を 宮古島地下水研究会 友利直樹(医師)

宮古島の水道水問題は、遠い将来の環境問題ではなく、いま島で進む命と教育の危機である。唯一の水資源である地下水を原水とする水道水から、ネオニコチノイド系農薬の一つ、クロチアニジンが検出され続けている。濃度は2022年の30ng/Lから、2024年76ng/L、2026年131ng/Lへと上昇した。わずか4年で4倍以上である。
「国の基準値内だから安全だ」という説明だけで本当に安心できるだろうか。特に心配なのは、胎児や乳幼児への長期的微量摂取影響が十分に解明されていない点である。水は毎日飲むもので、大人に直ちに危険でない濃度でも、体が形成される時期の子どもに同じ意味を持つとは限らない。だからこそ、子どもの健康に関わる問題では、被害が明らかになってからではなく、予防原則に立つ必要がある。
統計学的な数理モデル解析では、現在131ng/Lの農薬濃度が150~250ng/Lへ悪化した場合、五年後、十年後の宮古島は極めて厳しい姿になると予測されている。自然死産率は過去最悪を更新する恐れがあり、これは個々の家庭だけでなく、島全体の未来を揺るがす問題である。
さらに、予測では小学校男子児童の約三人に一人、28.3%が高度肥満となり、小児生活習慣病の危機を迎える可能性が示されている。加えて、小中学校の自閉症・情緒障害児在籍率は、2023年の5.1%から、クラスの約三割に当たる28.8%へ増えるとの予測もある。
これらは未来を断定する数字ではないが、現在の傾向が続いた場合の重大な警告である。もし一つの教室の三割の子どもが特別な支援を必要とするようになれば、教室も専門の先生も到底足りない。本来支援を受けるべき子どもの多くが通常学級に置かれ、一般の授業さえ成り立たなくなる恐れがある。これは単なる教育行政の負担増ではなく、義務教育そのものの崩壊につながりかねない危機である。
十年後に高度浄水施設が完成しても、失われた健康や学びの時間は戻らない。だから今、行政が示すべきなのは、安易に先送りするのではなく市長任期内の2028年度までに高機能活性炭浄水処理施設整備・稼働させる具体的工程を明確にすることだ。同時に、施設完成までの暫定措置として、妊婦、乳幼児のいる家庭、保育所、学校に、対象農薬を除去できる浄水器の導入を支援する必要がある。
さらに、農家だけに責任を押しつけず、化学農薬に依存しない農業へ移行できるよう、行政が技術支援と所得補償を含めた仕組みを整えるべきである。
数理モデルが示す未来は、恐怖をあおるためではなく、最悪の事態を避けるための警鐘である。地下水は宮古島の命の水であり、子どもは水道水を選べない。
行政は直ちに実効性ある浄水対策と農薬低減策を示し、市民も期限と財源を明らかにするよう声を上げたい。子供たちの健康と未来を守る責任は、今の大人と行政にある。十年後の宮古島を守る決断は、今しかできない。
宮古島地下水研究会 友利直樹(医師)

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