韓国は米中どちらに付くのか 中韓関係からみた韓国バランス外交の現在地
中国と韓国の関係は現在、経済・人的交流を中心とする協力の拡大と、安全保障や歴史・文化をめぐる構造的な不信感が複雑に交差するデリケートな局面にある。李在明政権の発足以降、両国は冷え込んでいた関係の立て直しに動いており、首脳・閣僚級の往来などを通じて外交的な意思疎通を再び活発化させている。
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経済・人的交流の面では、関係改善の兆候が明確になっている。中国と韓国は貿易や投資、サプライチェーン、文化交流などで協力を拡大する方向を確認しており、人的往来も回復傾向にある。
8月には、中国の王毅外相が訪韓し、李大統領らと会談。両国関係の発展に加え、朝鮮半島情勢や人的交流などについて協議した。さらに、中国側は韓国との自由貿易協定(FTA)第2段階交渉を早期に妥結させることへの意欲を示している。
もっとも、こうした関係改善がそのまま戦略的な信頼の回復を意味するわけではない。韓国にとって中国は依然として極めて重要な経済相手であり、2025年も中国は韓国の主要な輸出・輸入先だった。
一方、安全保障面では米韓同盟が外交・防衛政策の基盤に位置しており、韓国が米中対立の中で中国側に全面的に傾くことはない。むしろ李政権は、中国との経済関係を維持しながら、米国などとの関係も重視するバランス外交を模索している。
朝鮮半島問題でも両国には温度差がある。韓国は北朝鮮の核・ミサイル問題への対応で中国の影響力を必要としているが、中国は米韓同盟や米国の対北朝鮮政策を強く意識している。
絶妙なバランスを求められる韓国
王外相の訪韓でも、朝鮮半島の平和と安定や米朝・南北対話をめぐる立場の違いが浮き彫りになった。中国は韓国に米中対立で一方の陣営に立たないよう求めており、韓国にとっては安全保障と経済の双方で難しいバランスが続いている。
さらに、過去の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備をめぐる対立や、歴史認識・伝統文化の起源をめぐる両国世論の摩擦も、関係を不安定化させる要因として残っている。政府間の対話が進んでも、国民感情や安全保障上の警戒感まで短期間で解消されるわけではない。
加えて、近年は半導体をはじめとする先端技術やサプライチェーンの安全保障をめぐる国際的な枠組みが、中韓関係に新たな緊張をもたらしている。米中間の技術覇権争いが激化する中、韓国は最大の輸出市場である中国との経済的結びつきを守りつつも、米国の主導する同盟網やサプライチェーンの再編に対応せざるを得ないジレンマを抱えている。
この技術・経済安全保障の領域における摩擦は、単なる二国間の対話を超えた構造的な課題として、両国関係の先行きをより複雑なものにしている。
総じて現在の中韓関係は、過去の冷え込みから一定程度回復し、対話と実利を重視する「安定管理」の段階に入りつつあると評価できる。ただし、それは戦略的な信頼関係が完全に再構築されたことを意味しない。
中国との経済的・外交的協力を進めながら米韓同盟も維持するという韓国の立場は、米中覇権争いや北朝鮮情勢の変化によって再び難しい局面に直面する可能性がある。現在の中韓関係は、まさに「協力できる分野では協力しつつ、対立要因を管理する」という、慎重な関係改善の途上にある。
文/和田大樹 内外タイムス






