【投稿】自閉症・情緒障害児童生徒数減少は本当か:「数字の陰にいる子どもたちを見落とさないで」 宮古島地下水研究会 友利直樹(医師)
県学校基本調査では、「自閉症・情緒障害」特別支援学級の在籍者は2022年度265人、在籍率5.1%、2023年度262人、5.1%だった。ところが2024年度224人(4.5%)、2025年度213人(4.3%)となり、たった2年間で実数は52人、割合で0.8ポイント減った。宮古島市の小中学校で「自閉症・情緒障害」特別支援学級の在籍者が統計上減ったように見える。しかし、市民が見るべきなのは、数字の増減だけではなく、支援を必要とする子どもが実際にどこにいるのかという点である。一見すると支援対象の子どもが減ったように見えるが、これは統計上の見かけである可能性が高い。
背景には、平良第一小学校の特別支援学級の教室不足問題がある。支援を必要とする児童増加に対応するため、2024年4月校庭へ7棟のコンテナ式特別支援教室が設置されたが、台風時の安全性などで基礎工事が不十分と県から指摘され、同年11月に使用が一時中止された。この影響で、50人の児童が特別支援学級ではなく、通常学級に籍を置きながら必要な時間だけ指導を受ける「通級指導」に移ったと考えられる。
通級の児童は、特別支援学級の在籍者数には含まれない。つまり、統計の欄が変わっただけで、子どもの困り感が消えたわけではない。2024年度の自閉症・情緒障害学級224人に、通級へ移ったとみられる自閉症・情緒障害児を加えると2023年度とほぼ同水準になる。割合も全体の約5%で、実態として支援ニーズが減ったとは言いにくい。2025年度の更なる減少は、平一小以外でも「通級」児童が更に増加した可能性を示唆している。
さらに深刻なのは不登校の増加である。宮古島市の小中学校の不登校児童生徒は、2025年度には322人と増加し、不登校率も6.49%へ上昇し、全国平均3.86%を大きく上回る。特に小学生は、2025年度には4.07%となり、急激に増えている。
研究では、不登校の子どもの3~5割に発達特性があるとされる。だからこそ、特別支援学級の人数だけを見て「発達特性を有し支援が必要な子供たち」が減少していると判断することはできない。
市教育委員会に求められるのは、特別支援学級、通級指導、不登校、保健室登校、別室登校、教育支援センター利用などを分けて示すだけでなく、全体として何人の子どもが支援を必要としているのかを市民に分かりやすく公表することである。あわせて、専門職の配置、保護者相談、早期発見、学校以外の居場所づくりを急ぐ必要がある。見かけの減少に安心するのではなく、声を上げにくい子どもを地域全体で見つけ、支えることがいま必要である。
宮古島地下水研究会 友利直樹(医師)



