#11 沖縄は日本の一部、県民は日本人 尚家代理人ら国連で訴え
【ジュネーブ】7月中旬にスイス・ジュネーブの国連本部で開かれた「先住民族の権利に関する専門家機構(EMRIP)」第19回会期のサイドイベントで、第二尚氏第23代当主・尚衞氏の代理である橋口玲顧問弁護士と、南城市つきしろ教会牧師の砂川竜一氏が登壇した。両氏は遺伝学や言語学、歴史的経緯、沖縄戦の歴史などを根拠に「沖縄県民は先住民族ではなく日本人であり、沖縄は日本の一部である」との立場を国際社会に向けて明確に表明した。
本紙では、沖縄県民のアイデンティティや安全保障を揺るがしかねない同問題と、ジュネーブの国連本部で繰り広げられる活動の模様をシリーズで報告している。今回は第11弾。
橋口氏は、国連人権理事会などで沖縄県民を先住民族として認定するよう日本政府に求める勧告が出されていることに触れ、「尚衞氏は『沖縄県民は日本人であり、先住民族ではない』との意思を明確に示している」と説明。その根拠として遺伝学や言語学、歴史的経緯を挙げた。
遺伝学については琉球大学や東京大学などの研究成果を引用し、「沖縄本島や宮古諸島の人々は本州日本人に最も近縁であり、日本列島集団の一員であることが科学的に示されている」と述べた。また、琉球諸語と日本語は共通の祖語を持つ姉妹言語であるとし、「生物学的にも文化的にも断絶した異民族ではない」と強調した。
さらに「琉球処分」(1879年)についても言及し、「最後の国王・尚泰が民の幸福と命を最優先に考え、日本への統合という平和的帰属を選択した」と説明。戦後の祖国復帰運動で集められた約22万筆の署名を挙げ、「沖縄県民が民主的意思によって日本への復帰を選んだ証しだ」と語った。
橋口氏は締めくくりで、尚衞氏の「沖縄県民を先住民族と認定することは事実と異なり、特定のナラティブに利用される危険性がある。私たちは先住民族ではなく日本人である」との言葉を紹介。「歴史を歪め社会を分断する動きに対し、真実に基づいて向き合うべきだ」と訴えた。
サイドイベント後のインタビューで橋口氏は、2026年3月にもジュネーブを訪れたが、「現地では尚家や沖縄県民の思いが十分に反映されていないと感じ、再び参加することになった」と説明した。尚衞氏本人は海外渡航が難しい事情があるため、自身が代理として発言しているとし、「内容については常に詳細な連絡を取り合っている」と述べた。
また、「国連では先住民族の権利というカテゴリーの中で、異なる意見を述べることの難しさを実感した」としながらも、「だからこそ現場で声を届けることが重要だ」と参加の意義を強調。今後については「沖縄県民にも国際社会で何が議論されているのか十分知られていない。地方議員らとも連携しながら情報発信を進めたい」との考えを示した。
一方、砂川牧師は「約80年前の沖縄戦では沖縄県民は日本の若者たちとともに国を守るため戦った」と述べ、「沖縄県民は日本や天皇を恨んでいるという見方は事実ではない」と主張。さらに、「国連の先住民族勧告が沖縄を日本から分離しようとする動きに利用されている」と強い懸念を示した。
その上で「私たちは日本人であり、沖縄を日本から切り離すことは認められない。決して諦めることはない」と強く訴えた。
インタビューでは、前回の国連訪問後も沖縄の主要メディアが関連する議論を十分に報じていないとの認識を示し、「県民の多くは国連で先住民族に関する勧告が出されていること自体を知らない」と指摘。また、自らの見解として、沖縄を取り巻く安全保障や国際情勢への懸念を語り、県民への情報提供の重要性を訴えた。
今回のサイドイベントでは、登壇者らがいずれも「沖縄は日本の一部であり、沖縄県民は日本人である」との立場を共有し、国際社会に対して自らの認識を発信した。 (ジュネーブ特派員 吉岡綾子)



