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講演する鈴木氏 =21日、市未来創造センター・多目的ホール

有機給食核の「ローカル自給圏」提案 鈴木東大特任教授が講演 宮古の命と未来をみつめる会

 市民団体「宮古の命と未来をみつめる会」主催の特別講演会「食と農から考える―宮古の未来と子どもたち」が21日、市未来創造センターで行われた。講師を務めた東京大学大学院特任教授の鈴木宣弘氏は、「目先の農水予算削減は輸入増加、農業縮小、自給率低下を招いた」と指摘し、外国に頼らない農業生産で国民の命を守る取り組みを力説した。その上で、給食を核とした「ローカル自給圏」を提案。地域でつくられた作物を地域で消費し自給率を100%に近づけていく鍵に有機給食を挙げ、その推進を強く呼び掛けた。

 鈴木氏は、農林水産省入省や九州大学教授などを経て2006年から同大学院教授を務め、現在は食料安全保障推進財団理事長を兼任している。農業経済学や国際貿易論を専門とし、「世界の最初に飢えるのは日本」など多数の著書を持つ。自己紹介では、安全な食料を生産し加工、流通、消費する人たち、その関連産業の人たちが支え合い、子や孫の世代の健康で豊かな未来を守りたいとの考えを示した。
 講演では、米国の占領・洗脳教育にも触れ、食料・農業を標的とした国の予算削減などについて説明。目先の農水予算削減しか見えない財政政策は「輸入増加、農業縮小、自給率低下を招いた」と訴えた。さらに米国の言いなりによって爆増が見込まれるアメリカ米に関しても、「日本一の生産地である新潟県の59万トンより多い、毎年61万トンを約束させられた」と批判した。
 また、戦後の日本の食生活形成についても言及。米国の意思が大きく関与した結果、学校給食を通じた米国小麦のパン食普及という形で、子どもたちをターゲットとした施策が推進されたと説明した。米国の思惑から子どもたちを守り、国民の未来を守る鍵については「地元の安全・安心な農作物を学校給食を通じて提供する活動、政策を強化する。それが有機農業などで頑張っている生産者にも大きな需要確保や出口対策となる」と持論を明かした。
 ウクライナ・中東危機で激化する食料・資材争奪戦にも触れ、科学肥料原料のリン、カリウムが100%、尿素の96%が輸入依存のなか、高騰し買えないどころか今後の農家への肥料供給の見通しも不透明になってきていると指摘。この状況を踏まえ、「化学肥料をほぼ100%輸入に頼る日本農業は、輸入が滞るリスクが高まる中で有機肥料に切り替える必要がある」との見解を示した。
 今突き付けられている現実については「食料、種、肥料、飼料、燃料などを海外に過度に依存していては国民の命は守れない」と語った。
 農業補助金の「過保護論」については、間違っていると否定し、▽食料を確保し国民の命を守る▽消費者が食料品を安く買える――などと説明。給食や直売所を核とした「ローカル自給圏」も提案した。
 この中で鈴木氏は「宮古島市でも農家が頑張っており、その意味をみんなで共有しないといけない。地域でできた物を地域で消費して自給率を上げていく。その鍵になるのは有機給食であり、自給率を100%に近づける取り組みをみんなの力で実践してほしい」と要望した。

 第2部では、市議、農家、漁師、子育て世代を交えた座談会「子どもたちへつなぐ島の未来」も行われた。

市議、農家らによる座談会

パネリストらがそれぞれの立場から、鈴木氏の講演を聞いて感じたことや子どもの未来は農家で支えられるような取り組み、農薬を買って使わないといけない必要性、農薬も化学肥料も使わない農業を目指しているなどそれぞれの立場から意見を述べた。
 パネリスト同士の質問では「ほんとうに農薬を使わないといけないのか、使わない方法はないのか」「害虫が嫌うにおいを放つ植物を植えるといった対策で、少しずつ農薬を減らしていくことにつながり、それによって有機農業の島になるのではないか」など活発な意見が飛び交った。

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