• 全国
  • 「ラブライブ!」のゲームを運営していた会社が破産 エンタメ事業に集中するも資金繰りに苦戦
  • HOME
  • 全国
  • 「ラブライブ!」のゲームを運営していた会社が破産 エンタメ事業に集中するも資金繰りに苦戦

「ラブライブ!」のゲームを運営していた会社が破産 エンタメ事業に集中するも資金繰りに苦戦

ゲーム「Link!Like!ラブライブ!(リンクラ)」を運営していたオッドナンバーと関連会社2社(イグニス、パルス)が、4日に東京地方裁判所に自己破産を申請。5日に破産手続き開始決定を受けた。負債総額は3社合計で297億円。オッドナンバーの倒産は、エンタメ事業に集中することの難しさを物語る。

「Switch2でYouTube」は未だ非対応 それでも対応を期待する理由

すべての出発点は2010年5月に設立されたイグニスにある。サイバーエージェントの子会社で広告代理店事業の立ち上げに携わった銭錕(せん・こん)氏が設立した。イグニスは架空の男女とバーチャル通話を楽しむ「妄想電話」など、斬新なアプリを数多く生み出した。

2013年にリリースしたパズルRPG「神姫覚醒!!メルティメイデン」が人気を博した。その後、2014年7月にイグニスは株式を上場。マッチングアプリ「with」の提供を開始したことで、会社の方向性を大きく変えた。

イグニスはマッチングアプリとゲーム、新規事業の3本柱で事業を進めるようになったが、ゲームの分野は競争の激化で成長性に限界が見え始めていた。2019年にはバーチャルライブアプリ「INSPIX LIVE」をリリース。海外展開を目指すなど、このサービスに将来性を見出していた。

2020年、イグニスはドリコムに対し、「ぼくとドラゴン」などのゲーム事業を約5.4億円で譲渡。事業の選択と集中を進めた。これにより「with」が利益を出し、「INSPIX LIVE」が先行投資を重ねるという構図が鮮明になる。短期的な業績変動を恐れ、先行投資を抑えることが会社の成長を阻害しているという考えが、経営陣の間で強くなっていった。

100億円の借金を抱えるまで

イグニスが大きく動いたのは2021年だった。アメリカの投資ファンド「ベインキャピタル」をスポンサーとして、MBO(経営陣による買収)を実施すると発表したのだ。2021年6月、イグニスは上場を廃止した。

銭氏はマッチングアプリよりもVRプラットフォームの開発、拡大に力を入れたいと考えていた。ただ、ベインキャピタルは投資先行のスタートアップに出資をするベンチャーキャピタルとは性格が異なる。VR事業へ出資するのは、投資方針が合致しなかった。

マッチングアプリ事業を承継した株式会社with(現エニトグループ)は、2022年にイグニスグループから離れて独立。ベインキャピタルは、イグニスの新規事業に関連する株式を創業者にすべて譲渡。マッチングアプリ事業に集中する体制を整えた。その後、withはマッチングアプリ「Omiai」の運営会社を子会社化している。

イグニスの非上場化はマッチングアプリに将来性を見出していた投資ファンドと、VRなどの新たなエンタメ事業を推進したい銭氏の利害が一致していた。

一方、銭氏は2022年3月にオッドナンバーを設立。2023年5月に「リンクラ」をリリースした。現実のカレンダーとゲーム内の時間が連動し、ゲーム内のストーリーがリアルタイムで進行するという、コンテンツの質が特徴のゲームだった。

同ゲームは人気を博したが、会社の負担は相当重かったようだ。2024年12月末時点で、オッドナンバーは合計103億円もの負債を抱え、96億円の債務超過となった。新株予約権付き社債などで資金調達も行ったが、資金繰りは厳しかったようだ。

オッドナンバーの破産は、先行投資型エンタメ事業への経営資源集中の難しさを示している。結果論だが、安定収益源を切り離した後の高コスト型エンタメ集中という資本構成が、持続可能だったのか検証の余地がある。

文/不破聡 内外タイムス

関連記事一覧