• 全国
  • 人件費よりも株主向けの可能性 ディズニーランド&シーの値上げに踏み切るOLCの懐事情
  • HOME
  • 全国
  • 人件費よりも株主向けの可能性 ディズニーランド&シーの値上げに踏み切るOLCの懐事情

人件費よりも株主向けの可能性 ディズニーランド&シーの値上げに踏み切るOLCの懐事情

オリエンタルランド(OLC)が運営する「東京ディズニーリゾート」のうち、東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの両施設に入場するための価格が、10月から引き上げられることになった。

両施設とも1日中パーク内に滞在できる「1デーパスポート」は、最大で1500円の値上げ。2021年から時期や曜日などによって価格が変わる変動価格制を採用しているため、統一した価格にはならないが、現時点では最高で1万2400円になるという。

ユニバーサル・スタジオ・ジャパンが異例の注意呼び掛け 海外観光客を狙う「偽ツアー」めぐるトラブル

オリエンタルランドの創業日である7月11日の前日、東洋経済オンラインにてこの情報が発信されると、マスコミ各社が次々に記事を配信。いくつかの報道を読んでみると、いずれも人件費・管理費の上昇、パークの魅力向上、といった理由をあげている。

チケット価格の値上げは3年ぶり。この3年の間には、石油価格の上昇、物価高、最低賃金上昇など、国内外で様々な環境の変化があった。オリエンタルランドも値上げの理由に挙げている通り、人件費の引き上げを実施しており、その上げ幅は一般企業よりも高く設定している。

2023年には時給の最低ラインが1140円だったのに対し、2026年には1390円にまで引き上げられ、現在は深夜勤務や特定の業務であれば、時給2000円以上を目指すことも可能だ。

だが、本当に入場料などを値上げしなければいけないほど、切迫した状況だったのかを考えてみると、うっすらと疑問が浮かぶ。オリエンタルランドは東京ディズニーランド・東京ディズニーシーだけで収益をあげているわけではないからだ。

施設内では、これまでにコカ・コーラなどの「一般的な商品」、レストランの各メニューを値上げするなどし、不定期にコストの転嫁・抑制を図ってきた。また、OLCの子会社が運営するホテルでは、チケット代よりも変動の幅を持たせやすい宿泊費用や結婚式の利用料に対し、入場チケット類とは比較にならないような価格の変動ぶりを見せることもあった。

人生で1回開くかどうかの結婚式はともかく、ホテルであればディズニーリゾートを訪問するたびに宿泊する固定客もいるだろう。この領域で収益をあげることは十分に可能なはずだが、老若男女誰もが対象になる入場チケットを対象にし、より強力に収益を出せる方法を選択した形だ。

株主向けの値上げなのか

あくまでも従業員の待遇向上などを理由にした値上げなのだが、この発表に安心感を覚えたのは、中長期でOLCの株を保有している株主なのではないだろうか。

2026年3月期の通期決算では減益に陥ったものの、売上高は過去最高を記録。だが、2027年3月期の決算に関しては、コスト増を理由にした減益の見通しを提示しており、株価の低迷が続いていた。5月25日には、2023年の株式分割以降で最安値となる1株2103円を記録している。

値上げ発表の効果などもあってか、直近の株価は通期決算発表前の水準まで持ち直した。だが、事前に低く見積もった目標に対して、ギリギリ達成レベルの実績を株主らに見せてしまったら、今度こそ株価2000円割れが現実味を帯びてくる。少しでも利益を出すのであれば、チケットの値上げは手っ取り早く稼げる手段であり、株主から評価されやすい施策でもある。

直接的なライバルと言われるユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)も、9月からチケット価格を改定し、変動価格制を導入すると発表しているが、こちらはチケットの売り上げ次第で現行の価格より安くなることがあるという。海外や関東近郊の「ゲスト」は価格を気にしないかもしれないが、西日本方面のゲストはチケットも安いUSJへと流れていくことも容易に想像できる。

高価格路線を続けていると言われるディズニーリゾートだが、今後の流れに注目が集まる。

文/池田聖人 内外タイムス編集部

関連記事一覧