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上場廃止決定のオリコン 主力のニュース事業に残る「ミス頻発の課題」

東証スタンダードに上場するオリコンが、MBO(経営陣からの買収による株式非公開化)によって上場を廃止することになった。国内のWebニュースを代表するサイトへと成長したが、上場廃止を決めた理由として、AIの台頭や記事を読まれない「ゼロクリック問題」などをあげた。

AIに記事内の情報を吸い取られたり、ニュースサイトに人が来なくなったりすることで、収益が見込めなくなる恐れがあると感じたようだ。だが、オリコンにはAIからの脅威よりも対処しなければいけない「品質の問題」が残されている。

「辺野古で無差別殺傷事件」のデマを配信 生成AIが作った情報に注意すべき理由

6月2日、オリコンは「『サグラダ・ファミリア』ついに完成 NHKが歴史的生中継へ」という記事を配信。Xでは短期間で数万リポストを獲得したが、現在この記事の投稿には第三者による「背景情報」が追加されている。

今回完成するのは建物の一部であり、建物そのものが完成するわけではないからだ。オリコンはタイトルを「メインタワーついに完成」と改めたが、宗教的な要素を持つ「イエスの塔」をメインタワーと呼称することにも、疑問の意見が寄せられた。

また、2025年12月にはお笑いコンビ「霜降り明星」の粗品が、Xでオリコンを批判する出来事があった。音楽アーティストが未成年を自宅に呼びだした疑惑について言及したところ、アーティストを擁護しているような論調で記事を構成したため、怒りを買ったのだ。

オリコンはおわびと共に記事の削除を行ったが、芸人からの怒りを買ったのは今回が初めてではない。あまり拡散されていないが、この約3カ月前には発言を勝手に記事化されたとして、別の芸人も怒りの投稿を行っている。

記者による勘違いから生まれたと思われる誤情報の発信もしばしば見かける。テレビ朝日系特撮作品「超宇宙刑事ギャバン」についての記事が2025年11月24日に配信されたが、数ある芸能メディアの中でオリコンのみが「2026年1月放送」という情報を配信。正しくは2月放送開始ななのだが、現在確認できる記事では「2026年、毎週日曜午前9時30分から放送」と1月が削除された形になっている。

TBS系ドラマ「御上先生」の放送直後に配信されたネタバレを含む記事では、「機密をリークしていた人物」の情報を、別のキャラクターと混同するミスが発生。敵と思われていた人物が実は味方だったという、インパクトのある正体の明かし方ではあったが、ドラマを見ていれば取り違えるはずのない誤情報が、一部のポータルサイトにも数十分ほど配信されてしまった。

「声優バッシング」への加担も

リテラシーの問題も抱えている。2020年以降、ある投資家に対するインタビュー記事を複数回配信し、この人物の人となりや投資スタイルなどを紹介。日本人の金融リテラシーを高めたいと語ったこの人物は、後に上場企業の代表取締役になったのだが、上場後に自社株を売り抜け、自身は取締役からも退任。オリコンで語っていた金融リテラシー向上の話とは正反対とも言える手法で、巨万の利益を手にした。結果論ではあるが、彼のポジショントークをそのまま流す、機関紙のような役割を果たしてしまった。

また、声優・坂倉花の名前を冠したクレジットカードの発行に関するニュースでは、サービス内容について「特殊詐欺だ」と批判するネットの反応を紹介。カードの累計使用額次第で限定動画などをもらえるなど、サービス自体は発行会社の、何一つ法律に触れていない基本設定に沿ったものだったが、記事では批判の矛先を声優に限定し、あたかも声優があくどい商売をしているかのような印象を付けていた(現在は修正済み)。なお、名前の読みは「さかくら・さくら」だが、オリコンのプロフィール紹介では「さかくら・はな」になっている。

別企業の記者を揶揄(やゆ)するネットの声を拾い上げたり、記者会見の発言内容を取り違えたり、新型コロナのワクチンを不安視させるような記事を配信したり、ルッキズムを助長する記事を連載化したりと、オリコンニュースを取り巻く品質上の問題はいくつも残っている。経営方針として「情報が錯綜する社会において、客観的、公平な立場から事実を情報化し、社会からの信頼を獲得」と定めているが、現状では方針通りの運営を行っているとは言い難い。

MBOに協力した三菱商事系のファンドは、対法人の領域での協力体制を構築していくと表明しており、顧客満足度ランキングなどの分野を伸ばすとしている。株主は事実上経営陣に絞られるため、何としても収益をあげなければいけないという、大手上場企業特有のプレッシャーからはひとまず解放される可能性もある。オードリーのオールナイトニッポンリスナーの一人としては、これを好機ととらえて記事品質の向上に努め、新生オリコンニュースとしてより人の心に届くニュースを届けるサイトとして生まれ変わることを願うばかりだ。

文/池田聖人 内外タイムス編集部

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