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「ユニクロ」はヨーロッパの猛暑を味方に漬けたか 異常気象が商機となる魔術的ビジネスモデル

「ユニクロ」を運営するファーストリテイリングの業績が好調だ。2025年9月から2026年5月までの売上高は前年同期間比で約2割、本業の稼ぎを示す事業利益は3割超、それぞれ増加した。

足元の好調ぶりを背景に、ファーストリテイリングは2026年8月期の通期売上高を従来予想から700億円、事業利益を200億円上乗せした。売上、利益ともに過去最高を更新する見込みだ。

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好業績を後押ししている主要因は海外ユニクロ事業だ。2025年9月から2026年5月までのこの事業の売上高は1兆8340億円。国内ユニクロ事業が8676億円である。しかも、海外事業はこの期間の売上が26%増加。国内は8%増に留まっている。ユニクロの海外事業は会社全体の売上の約6割を占め、二桁成長している。

海外ユニクロ事業において着実に店舗数を増やしているのがヨーロッパだ。2026年2月末時点のヨーロッパにおける店舗数は91店舗で、1年間で9店舗の純増だった。

ファーストリテイリングにとってヨーロッパ攻略は長年の悲願だった。2001年にイギリスに1号店を出店。ヨーロッパ進出を果たした。短期間で20店舗以上へ拡大したものの、集客に大苦戦して完全撤退寸前まで追い込まれた。

ヨーロッパではトレンドを意識したファッション性を重視する消費者が多い。そのため、ファストファッションの分野ではスウェーデンのH&Mや、スペインのZARAなどが強みを発揮していた。ユニクロのシンプルなデザインが受け入れられなかったのだ。しかし、実用性や機能性を重視するミニマリズム意識の高まりとともに、フランスを中心として少しずつ受け入れられるようになった。

潮目が大きく変わったのは2023年8月期だ。この期のユニクロのヨーロッパの店舗数は68店舗で、わずか2店舗の純増だった。しかし、このエリアの売上は前年のおよそ1.5倍に急拡大し、営業利益は1.8倍超となった。

エネルギー危機がユニクロ躍進の転機

2022年はウクライナ危機を契機とし、ロシアがヨーロッパ各国への天然ガスの供給を大幅に制限した。エネルギー価格が跳ね上がったことにより、電気代も高騰。真冬に人道危機が起きるとの懸念が深刻化した。

ユニクロの代表作といえばヒートテックである。ヨーロッパでの寒い冬を乗り切るのに適した、機能性の高いユニクロの衣料品の需要が膨らんだと推測できる。

2026年は6月下旬からヨーロッパは記録的な熱波に見舞われている。各国の気象当局によれば、ドイツ、デンマーク、ハンガリーの各国で観測史上最高気温を突破。イギリス、オランダ、オーストリアでもそれぞれ6月として最高気温を記録した。

しかも、ヨーロッパは石造りの古い建物が多く、構造上エアコンの設置ができないケースが多い。日本のように湿気が多くないため、エアコンを設置するという意識そのものも低い。つまり、着るもので調整するのが当たり前なのである。

ユニクロは夏でも快適な着心地のインナー「エアリズム」をグローバル戦略ブランドに位置づけていた。記録的な暑さも追い風になりそうだ。

ファーストリテイリングは2026年8月期の売上収益が3兆9700億円となる見込みで、H&Mを抜いて世界2位になる公算が高まった。高い機能性とシンプルなデザインに愚直なまでにこだわり、競合が少ない独自のポジションを獲得した。

ユニクロは異常気象やエネルギー価格の高騰によるインフレなど、ビジネスにとって脅威となるような出来事を需要増に転換する力を持っている。見通しの利かない世界になった今こそ、強みを発揮する稀有(けう)なビジネスモデルである。

文/不破聡 内外タイムス

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