FUNDINNOの“上場ゴール”は役員の報酬減額で済ませてよい問題なのか 第三者が問題を把握する仕組みが必要に
未上場ベンチャー企業向けの株式投資型クラウドファンディングプラットフォームを展開するFUNDINNOが、12日に通期業績の下方修正を発表した。11億4700万円の最終利益から一転、10億円近い赤字へと切り替えたのだ。
FUNDINNOは2025年12月5日に新規上場したばかりの会社である。上場時に開示していた11億円を超える純利益予想は、2025年10月期の純利益の3倍近い金額であり、上場後の成長性に期待感を持たせていた。
FUNDINNOの公募価格は620円。初値は1.4倍となる883円だった。市場の期待を集めていたが、下方修正の発表もあって株価は低迷しており、19日は262円で引けている。
IPOにおいては、株価の急落を防ぐために大株主に対して一定期間持株を売却できないロックアップという制度を設けている。FUNDINNOには多くの株主に180日間のロックアップがかかっていたが、下方修正を発表したのは189日後。ロックアップ解除直後という微妙なタイミングで悪材料を公表したことになる。
しかも、下方修正の理由にも疑問が残る。主力サービスにおいて流通取引総額が想定を下回ったというのだ。2026年10月期の営業収益は38億9200万円を計画していたが、実に54%も引き下げて18億円へと修正した。上場の半年前の段階で、売上見通しが5割以上も下振れする可能性を経営陣は把握できていなかったのだろうか。
通期業績予想の修正に関する開示基準は、売上高が10%以上、営業利益・経常利益・純利益が30%以上増減した場合である。開示のタイミングの適正さについては、疑念がつきまとう。
経営責任を果たすべく、CEOとCOOの2人がそれぞれ月額報酬の15%減額を決定した。しかし、FUNDINNOの成長に期待した投資家は納得しきれないのではないか。
IPOの信頼性を担保する第三者機能の必要性
FUNDINNOのようなケースは上場ゴールと揶揄(やゆ)される。株式の上場が健全な資金調達や企業価値向上を目的としたものではなく、上場時の利益獲得そのものが目的であると捉えられてしまうからだ。
上場後すぐの下方修正、しかも大幅増益からの赤字転落が市場の失望感を誘うのは間違いない。ベンチャー投資を活発化させるためにも、上場前に業績悪化など悪材料の兆候を把握し、適切な情報開示や対応を行うべきだ。そして、主幹事証券会社のような第三者は特に重要な役割を果たすだろう。
FUNDINNOの主幹事証券会社は野村證券である。そして、野村ホールディングスは2021年にFUNDINNO(当時の日本クラウドキャピタル)の第三者割当増資を引き受けており、資本業務提携している。野村ホールディングスの全国のネットワークを通じて、ベンチャー投資プラットフォームを拡大する狙いがあった。
FUNDINNOと野村グループには資本業務提携を通じた関係性があったのだ。
2026年に入って国内のIPO投資は冷え込んでいる。銘柄数そのものが少ないうえに、初値が公募価格を下回るものが目立つのだ。FUNDINNOのようなケースは市場の信頼を毀損(きそん)することにもなりかねない。2025年には上場後わずか9カ月で事実上の倒産となったオルツが世間をにぎわせたことは記憶に新しい。
IPOについては、上場する企業と監査法人はもちろん、主幹事証券会社、証券取引所などの関係者も事前に問題を解決する機能を持つべきだ。投資家から意図的に目をつぶったと思われれば、投資意欲をそがれることになるだろう。グロース市場に資金が入らなければ、ベンチャー企業は十分な資金調達ができず、事業拡大に支障が出ることにもなりかねない。
新規上場する企業の関係者を巻き込み、市場を健全化する仕組みづくりが必要であるようにも見える。
文/不破聡 内外タイムス


