ストリーミング×SNS×ライブ…ガラパゴスだった日本の音楽産業にも新潮流
先月、ロサンゼルスでJ-POPフェス「Zipangu2026」が行われた。動員数2万人で日本人以外が95%。新しい学校のリーダーズ、Ado、ちゃんみな、10-FEETなど、日本のミュージシャンだけが出演するライブとしては過去最大規模だった。
現地のファンは日本語でコール&レスポンスをしていたといい、音楽評論家の柴那典氏は「英語で歌わないとアメリカでは通用しない、というのはすでに前時代の常識」と語る。
経済産業省によると、日本の音楽の海外売り上げ(2024年速報値)は1239.5億円で、割合は配信が約40%、ライブが約40%だった。2010年代はまだアイドルグループの握手会や特典商法によってCDをたくさん売るビジネスモデルが温存されていたが、そのことで日本はストリーミングへのデジタルシフトが遅れてしまった。
音楽の売り上げは、ゲーム約3兆円、アニメ約2兆円に比べればまだまだ小規模だが、音楽はゲームやアニメや映画に連動する分野だとして経産省も大きな期待を寄せている。政府は2033年までに、コンテンツ海外売り上げを20兆円まで伸ばす計画で、日本アーティスト4組以上出演の海外音楽イベントには1億5000万円の補助金を出している。
音楽分野で先行する韓国は、K-POP海外売り上げ(2024年)は約2800億円で、日本の倍以上となっている。政府機関としてコンテンツ振興院があり、約30か所の海外拠点があるという。日本は国内の市場規模がかなり大きい(世界2位)ため、これまでは国内だけでビジネスが成立していた事情がある。
シティポップブームも同時進行
世界で注目されているのは、最近のミュージシャンばかりではない。ギタリストの高中正義は3月、ロンドンでワールドツアーの初日公演を開催した。サディスティック・ミカ・バンド時代を含めると半世紀ぶりとなるロンドン公演で、現地のZ世代を中心とした若いファン5000人を集めた。
高中といえば、50代以上なら1980年頃のパイオニアのCMを思い出すところだが、それがなぜ今海外で、と疑問に思うだろう。理由は前述したストリーミングサービスである。
実は、5~6年前から変化の兆しはあり、大滝詠一や竹内まりや、松原みきなど1970年代に流行した「シティポップ」の再生回数が急増した。
ストリーミングで音楽を聞くと、リスナーが好みそうな曲を自動的におすすめされるが、都会的で洗練されたサウンドが世界の音楽ファンの目にとまったようである。シティポップを好きになった欧米のファンにおすすめとして流れた1つが高中の曲だったわけだ。
高中のワールドツアーを仕掛けたプロモーターは、NHK「クローズアップ現代」で、高中の楽曲が世界のどの都市で再生されているかを分析し、再生数の多かった世界8都市を狙ってツアー開催したことを明かした。音楽業界でも戦略的なデータ分析はますます重要になってくる。
かつては、日本国内だけで消費されるガラパゴスな音楽と言われることも多かったJ-POPだが、ここ数年で潮目が少しだけ変わり始めたとは言えるだろう。
文/横山渉 内外タイムス


