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【演芸諸行無常】気になる落語協会の新会長、電話の折り返しがないということは…

落語協会(柳家さん喬会長・77)の事務局から先日、一通のメールが私の手元に届いた。

「〇〇日にどこどこで、新会長就任の会見を行います」

さん喬会長は2026年6月いっぱいで、7月からはさん喬師匠が続投するのであれば2期目に入る。続投しないのであれば新会長を選出することになる。

5月某日、とある関係者が落語協会事務局関係者に「さん喬師匠は続投するの?」と尋ねたことがあった。その際の答えは「まだ続けるとも辞めるとも言われてないんです」

6月X日。落語協会事務員と話す機会があり、その際私は「さん喬師匠は続投するの?」と何の前触れもなしに尋ねてみた。結論は「まだ分からないんです」だったが、不意を突かれた質問だったのか、一瞬相手の表情に間ができたことを私は見てとった。取材勘で言えば「あたりが取れた」という、まさにそんな表情だった。これは変わるな、と私は踏んだ。

2年前、柳亭市馬前会長(64)の後任にさん喬師匠が就いた際、年齢のこともあり長期政権ではなく1期だけ、というのが、弟子を含めた多くの落語家のほぼ一致した見方だった。理事会でさん喬会長が「2期やります」というようなことを述べた際、周囲の理事が「1期!でしょ」と突っ込みを入れたそうだ。

弟子からは「会長職をやって余計な仕事に忙殺されるより、落語だけをやっていてほしい」という声を聞いたことがある。

会長としてさん喬師匠は、組織の決定における徹底的なボトムアップを図った。会長の鶴の一声で決定する傾向にあった旧態に、若き理事時代に違和感を覚えたことがあったからだという。

芸の上では2025年に文化功労者に選ばれた。人間国宝になった桂米朝(故人)に次いで、落語家としては2人目の栄誉。会見の時「先輩がつないだ幹を枯らさないことが大事な使命」と、落語家が落語という大樹の元に集う芸能家であることをしみじみと語っていた。リーダーとして我を通したり、圧をかけるようなタイプではない。

常任理事や副会長から選ばれるのが慣例

さて、取材の関心は新会長人事に移る。正式には、落語協会員の総会を経て決定されるのだが、おそらく内定はしているだろうというのが私の見立てだ。

落語協会の歴史を振り返れば、新会長は理事の中から選ばれるのが慣例だ。現在、副会長は林家正蔵師匠(63)、常任理事は柳家小さん師匠(78)、金原亭馬生師匠(78)、五明樓玉の輔師匠(60)、林家たい平師匠(61)、柳家喬太郎師匠(62)の5人。その次に9人の理事がいるが、理事が常任理事や副会長を飛び越して会長に就任する可能性は低い、というか、先輩を立てるわきまえの文化が行き渡っている落語家の世界では考えにくい。

落語協会の事務局体制が整備され始めた5代目小さん会長の時代からさん喬会長まで6代、政権が変わったが、3代目三遊亭圓歌会長以外は柳家が重責を担った。いわゆる柳家政権が続いている。6人のうち3人は、副会長から昇進している。

前記の新会長候補5人のうち、柳家は2人。小さん師匠は高齢で、喬太郎師匠はさん喬師匠の一番弟子にあたり、師匠から弟子へバトンをつないだことは、落語協会史上前例がない。

「もし、そうなったら、いろいろ言われるでしょうから、さん喬師匠も指名しにくいでしょうし、喬太郎師匠も受けにくい」(中堅真打ち)という声も漏れて来た。協会幹部のひとりは私に「若い世代は確実に育っているので、ここはまず正蔵さんに、というのが妥当な流れ。人材はいくらでもいるのが落語協会の強みです」と明かした。

状況は絞られた。新会長は、じゃじゃじゃじゃん、林家正蔵師匠!一択を私の結論としたい。

実は落語協会から新会長会見のメールが到着した直後、私は正蔵師匠のケータイに電話をかけてみた。メッセージは残さなかったが、通常なら折り返しがすぐに来る。それが来ない。

本稿を書きながら再び電話をかけ、意味深なニュアンスでメッセージを残した。

「渡邉寧久です。折り返しできるようであれば、折返しください。無理なら結構ですので」。読みの鋭い方だから、このタイミングでかかってくる私の電話が何を探りたがっているのかは勘づいていることと思う。

折り返しは今のところ来ていない。私の質問に、本人も答えにくいと考える。それゆえ、折り返しが来ないことが、正蔵会長の信ぴょう性を高める。

落語協会の会見までに、どこかのメディアが「落語協会新会長は〇〇〇〇」とすっぱ抜くのか。ま、そこまでのことでもないが、新会長誕生まであと半月。

文/渡邉寧久 内外タイムス

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