一席に宮里尚安さん作品 第9回宮古島文学賞 二席は下地さん、雲さん 市文化協会
宮古島市文化協会(饒平名和枝会長)は6日、市役所で会見を開き、第9回「宮古島文学賞」入賞作品を発表した。一席は宮里尚安さん(84、沖縄県)の「六月の手拭い」、二席は下地カナさん(41、福岡県)の「うむいでぃ(思い出)」と雲海倫さん(50、愛知県)の「追懐の赤い日」が選ばれた。宮里さんは本紙で掲載されているエッセー「島の彩」で長年にわたりエッセイストを務めており、本紙の取材に応じ、喜びの声とともに作品について語った。

今回で9回目を迎える「島」をテーマにした短編小説は、事務局によると全国から104作品(宮古圏域含めた沖縄県内21作品)の応募があった。
会見では主催者の饒平名会長は、全国28都道府県からの応募に感謝し「作者それぞれが描く世界観や島の内実と向き合い、人の生き方への思索を深めた作品、平和への希求、人間愛が描写された作品、ファンタジー作品などテーマ『島』が織りなす個性的で豊かな作品世界に感動を深くする。今後とも短編小説に紡がれる作者のメッセージや島への温かい眼差しを大切に宮古島における文学を発展させていきたい」とあいさつした。
宮城克典教育長はメッセージを寄せ、「島内外から様々な視点による作品が寄せられることから『島』を見つめ直す機会であると同時にレベルの高い作品がしのぎを削る場となっている」と評価した。
このあと発表があり、最終選考は椎名誠さん(作家)が選考委員長、委員は大城貞俊さん(作家、元琉球大学教授)、もりおみずきさん(児童文学作家)が務めた。
大城さんは、全体的な印象について「『島』のテーマでこれほどまでに広がりや深みのある作品を作れることへの驚きがある。島を見つめることでいかに生きるかという普遍的なテーマまで到達しているように思われる」と述べた。
宮里さんの作品には「宮古島の農村からボリビアに移民した男性を巡る2人の女性の物語。50年後の宮古島が舞台だが宮古島に残したいいなづけの女性を訪ねてボリビアから男性の妻がやってくる。小説的な工夫もあり心温まる作品に仕上げている。土地の風土や文化、歴史、慣習なども取り込んで島や土地の匂いのする作品。登場人物は少ないが人間のやさしさ、信頼する心、生きることの素晴らしさを描いている」と評価した。
もりおさんは「皆さんは文章力があり、(選考では)何回か読むなかで胸に迫る作品に注目している。(入賞者は)力が備わっており選考委員3人で一致して選んだ」と述べた。
椎名さんは、選考に「小説として楽しく読めるか、深く感銘を受けるかどうかで評価する。3作品とも素晴らしいとして選ばれた。受賞したことでさらにいい作品を発表するのではないか」と今後に期待を込めた。
一席に選ばれた宮里さんは本紙の取材に「(生まれ部落から)ボリビアに移民した家族が居た。50年余消息は分からないが、どうなっているかを膨らませながら書いた。これまでも小説を書いていたが佳作止まりだったので格別にうれしい」と話した。

学校教諭だった宮里さんはこれまで沖縄の風土や社会を背景とした作品の執筆を続けており、本紙の「島の彩」では独自の目線から郷土愛にあふれる島の今昔が語られている。また、旧城辺町歌や21年4月に開校した城東中学校の校歌作詞を手掛けるなど教育・文化でも幅広く活動している。
授賞式は3月7日にホテルアトールエメラルド宮古島で行われる予定となっている。


