#14 德地秀士「トランプ大統領の再登場と今後の日米同盟」

トランプ大統領の再登場と今後の日米同盟 德地秀士
来週にはドナルド・トランプが再び米国大統領に就任する。先の大統領選挙は意外なほど早く結着がついた。激戦7州全てでトランプが勝ったし、獲得した選挙人の数で見る限りトランプ圧勝である。
トランプは既によく知られているとおり、予測不可能な態度に出る。また、民主政治や「ルールに基づく国際秩序」の根幹にある基本的な原則や価値観に対して無関心である。同盟関係や国際的なパートナーシップの重要性も理解していない。
しかも、彼は第1期目の4年間で米国の政治の動かし方を理解したはずであり、かつ、今度は自分の意を十分に汲むことができる人材で政権を固めているようだから、より手強いだろう。また、もう再選を考える必要がないから、更に大胆なことをすることも考えられる。
米国との同盟関係を自国の外交・安全保障の基軸とする日本はどうすべきか。米国の同盟関係の中でも北大西洋同盟(NATO)は32か国で構成されるから米国は32分の1でしかないが、日米同盟は1対1で両国が向かい合う関係だから、米国の重みが両者では全く異なる。それだけに、日米同盟のような2国間同盟は舵取りが難しくなる。
トランプはこれまでも「日本が好きだ」と述べているようだが、そうした好き嫌いの感情とは別に、彼は何回か「米国は日本防衛義務があるのに、米国が攻撃されても日本は助けにこないから不公平だ」とも述べている。
したがって、心配の種は尽きないが、世界はトランプとの向き合い方を既に十分に学んできたはずであり、予測不可能とばかりは言っていられない。
また、米国抜きの国際秩序、或いは米国抜きの日本の安全保障といったことは考えられない。そんなことを考えて喜ぶのはロシアや中国や北朝鮮くらいだろう。
日本はトランプと同盟関係を結んでいるのではなく、アメリカ合衆国と同盟している。同様に、米国は石破茂と同盟関係を結んでいるのではなく、日本と同盟しているのである。日米同盟は、政治指導者同士の個人的な関係ではない。制度的に強化された関係である。米軍と自衛隊の絆はその典型例であるが、それだけではない。強固なパートナーシップは両国民の各層に及ぶ。
むしろ、この機会に日本、豪州、NATO諸国等が協力して、米国を国際社会につなぎ止めておくことが必要である。多様性に富んだ米国としっかり向き合い、日本がリードして日米同盟を強化する時代なのである。
とくち・ひでし 1955年生まれ。東京大学法学部卒業、タフツ大学法律外交大学院(フレッチャースクール)卒業(修士)。防衛庁入庁。防衛省運用企画局長、同人事教育局長、同経理装備局長、同防衛政策局長、初代防衛審議官を経て2015年防衛省退職。2021年現職。中曽根平和研究所研究顧問。著書に『専制国家の脅威と日本』(共著2023年、勁草書房)『防衛外交とは何か』(共著2021年 勁草書房)、『気象安全保障:地球温暖化と自由で開かれたインド太平洋』(共著、2021年(東海教育研究所)等がある。



