
伝承と発展へ育成強化 宮古上布の未来議論 25年度定期総会 11月に苧麻糸シンポ開催
宮古上布保持団体(新里玲子代表)の2025年度定期総会が24日、市役所で行われた。24年度事業報告および収支決算、25年度事業計画および予算案などを審議し、原案通り承認したほか、任期満了に伴う役員改選もあり、新里氏を再任。同団体は後継者育成が課題となっている中、今年度も伝承者養成講習で図案・手括り、染め、織り、洗濯・砧打ちを担う人材育成に力を入れる。11月から12月ごろに「苧麻糸シンポジウム」を予定しており、今月末の文化庁採択で正式決定となる。
同団体は、国の重要無形文化財である宮古上布の製作技術を保存・伝承する。総会の冒頭あいさつした新里代表は「1978年に国の重要無形文化財として指定をいただいた以降、先輩ら会員のおかげで後継者を育成してきた。ただ定着につながりにくいという課題がある。今年度は課題を一つひとつ挙げながら解決に向けて取り組んでいきたい」と述べた。
このあと事務局が各議案を説明。24年度事業は普及啓発活動の「むら巡りツアー」、宮古苧麻績み保存会の「夏休み親子ぶーんみ体験講座」での作品展示と解説、市歴史文化資料館で「宮古上布保持団体コレクション展」、市民総合文化祭織物部会の展示、歴史文化活用推進事業の「草木染め体験」、「宮古上布工房めぐり」などを実施したことが報告された。
伝承者養成事業の図案・手括り(講師・下地達雄さん)は小禄有美子さん、染め(同・神里佐千子さん)は松堂初美さん、長濱充代さん、織り(同・本村三子さん)は長濱充代さんが講習を受けた。
補助事業で25年度に実施するのは伝承者養成講習のほか特別講習、苧麻糸購入事業、関連技術事業の苧麻績み講座(経糸・緯糸)、全重協南魚沼・小千谷大会秀作展見学研修旅行、文化庁・県現地調査などが予定されている。
苧麻糸シンポジウムは、重要無形文化財「宮古上布」の原材料である苧麻糸の現状と課題について、同じ苧麻を原料とする織物の産地や苧麻を生産する産地から講演者を招いて意見を交換する。
日程は2日間で基調講演、各産地の発表、パネルディスカッション、ワークショップ、作品展示を予定している。
新会員・新準会員加入の議案では、理事会の決定により推薦された新会員に砂川一人さん、準会員に長濱政子さんと松堂初美さんが承認された。
新役員は次の通り。
代表=新里玲子▽代表代理=島袋朝子、上原則子(新)▽理事=砂川猛、豊見山カツ子、砂川美恵子、神里佐千子(新)、荷川取ひろみ(新)▽事務局長(会計兼)=与那覇弘樹(新)▽監事=上地栄作、下地美明