
多機能港湾の供用式 新ターミナル完成 平良港漲水地区 経済・防災・観光に寄与 多数出席者で祝う
平良港の漲水地区で整備が進められてきた「複合一貫輸送ターミナル」がこのほど完成し、全面供用を祝う式典が8日、現地で開催された。国や行政関係者、経済団体の代表者らが多数出席し、テープカットやくす玉開披、伝統芸能の演舞などで祝った。供用開始を機に、平良港は宮古圏域の「経済」「防災」「観光」を支える中核港湾として、新たな歴史を刻み始めた。

供用式では嘉数登市長(代読・砂川朗副市長)が「平良港は14世紀から宮古地域の交流の要衝として発展してきた。供用開始は、市民生活や経済活動を支える重要な一歩だ」と述べた。
港湾局の稲田雅裕局長も「予算担当として本事業の立ち上げに関わった身として、きょうの供用式に出席できたことは感慨深い。耐震強化岸壁の整備は離島にとって極めて重要」と語った。
また、衆院議員の西銘恒三郎、國場幸之助、金城泰邦の各氏や参院議員で内閣府政務官の今井絵理子氏も登壇。宮古圏域における港の役割と、その発展が島民の暮らしや経済に果たす影響の大きさを強調し、関係者のこれまでの尽力に敬意を表した。
同整備の背景には、老朽化した港湾施設の更新、冬季の季節風による入港困難、船舶の大型化への対応など、現場が抱えていた課題がある。
平良港湾事務所の與儀成也所長は「港の向きを北東方向に改め、風の影響を受けにくくしたことで接岸の安全性が向上した。岸壁背後の用地も拡張され、コンテナ蔵置や荷役作業の効率化が実現した」とその事業効果を説明した。
さらに、大規模災害時の緊急物資輸送にも対応できる耐震強化岸壁の整備は、能登半島地震での事例を踏まえても離島の防災力強化に直結するものとして注目されている。
宮古島では近年、国際クルーズ船の寄港数が増加傾向にあり、リゾート開発も進み、観光需要は右肩上がりの状況だ。今回の全面供用開始により、RORO船2隻が同時接岸可能となるほか、11万㌧級のクルーズ船も寄港できる体制が整った。
本事業は、宮古圏域の物流を支える基幹インフラとして、2012年度に着手。17年には岸壁295㍍を暫定供用し、その後も段階的な整備が続けられてきた。新ターミナルは観光・物流の双方を支える多機能港湾として、今後ますますその存在感を強めていくことになる。