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住居不足緩和・解消へ 嘉数市長が施政方針 「市民が真ん中」市政運営
嘉数登市長は27日に開会した宮古島市議会(平良敏夫議長)3月定例会で2025年度施政方針を表明した。市民と約束した公約の「9つの政策」推進に向けては少子化対策、住居不足の緩和・解消、持続可能な観光振興などに取り組む姿勢を見せた。市制施行20周年記念事業は市民フェスティバル、全国離島交流中学生野球大会(離島甲子園)など幅広い世代が参加し、楽しめる各種記念事業を実施する。市政運営へ向けては「『市民が真ん中』を基本姿勢に公約の着実な推進を図っていきたい」と述べた。
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嘉数市長は、議員を前に直面する重要課題へ責任ある対応で臨むとした。
少子化対策は子育て環境の整備、経済的な負担の軽減などを推進し子育て世代が住み続けたいと思える島に向けて「子育て応援宣言」を行う。支援を推進するための基本的事項を定める「子育て支援条例」も制定する。
住居不足の緩和・解消に向けては市営住宅の空き部屋活用を継続して実施し、空き家の所有者等への意向調査を継続的に行い、空き家バンクへの登録を促し有効活用を推進する。
市民の命と暮らしを守るための物価高騰への対策は物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金を活用し、市民ニーズを踏まえた迅速な支援を行う。増加する水需要に適切に対応するため「長期水需給計画」を策定し、新たな水源開発や施設の更新などへ計画的に取り組む。
持続可能な観光振興と市民生活への還元・調和では、リーディング産業の観光は人手不足や受入体制等の課題を抱えており、持続可能な観光振興へは将来像の再設計を必要があるとの考えを述べた。人・食・音楽でもてなすことをコンセプトに市が持つポテンシャルを発揮し、観光の効果を市民生活に還元する「観光振興ビジョン」を官民連携で策定し量から質への転換を図るとした。
産業面では、ものづくり産業を強化し域内経済の好循環により市民所得の向上につなげるため中小企業振興基本条例を制定する。創業を支援するための「産業振興施設(賃貸工場)」の整備に向けて調査・検討を進める。
未来を創る教育は、漢定・英検・数検等の検定料全額補助を実施。再チャレンジへの支援として同一検定の再受検も新たに補助対象へ追加する。文化・スポーツ活動の島外大会への派遣費は航空運賃に加え新たに宿泊費も補助の対象とした。
新しい時代に対応する行財政改革は、公共施設の有効活用にスピード感を持って実行するため「行政経営課」を設置する。自治体経営の効率性の向上へ向けては外部委員を中心とした諮問機関となる「行政経営会議」を新たに設立する。
主要施策は▽地下水や豊かな自然環境と共生する島づくり▽子ども達が笑顔にあふれる活力と郷土愛に満ちる島づくり▽島の特色を活かした産業と多彩な交流・活力にあふれる島づくり―など6項目を示した。