旧正月で大漁旗を掲げる漁船
=佐良浜漁港
旧正月で無病息災や豊穣祈る 島民ら一年の安全と繁栄願う 大漁旗で漁港華やぐ
旧暦1月1日の29日、伊良部佐良浜や平良池間などの漁業集落を中心に「旧正月」が盛大に催された。漁港や港に係留された漁船には色鮮やかな大漁旗が掲げられ、男衆が早朝から集まってこの1年間の無事に感謝するとともに、向こう1年間の航海安全と豊漁・豊作を祈願し、酒を酌み交わす光景が見られた。
月の満ち欠けによってつくられた旧暦(太陰暦)は潮の満ち引きと密接に関わっているため、漁師町では現在も旧正月を盛大に祝うところがある。
旧正月を祝う風習は日本で現在ほとんど残っていないが、中国をはじめアジアの多くの国々では今も1年で最も重要な行事として執り行う。
宮古では新暦の正月を祝う家庭が増えているが、伊良部島や池間島などでは今も旧正月を祝う。
例年、ムトゥヤー(本家)を中心に家族や親族が集まり、無病息災や豊漁、五穀豊穣、家庭円満などを祈りながら盛大に旧正月を祝っている。
佐良浜漁港では漁船に掲げられた大漁旗がたなびく中、早朝から男衆が船に参集したほか、池間島でも旧正月に合わせて港内の漁船に色鮮やかな大漁旗や国旗などが掲揚され、主だった家には酒瓶や供え物を手に集まり酒を酌み交わして祝い、向こう一年間の健康や豊穣を願った。
この日は島外から多くの親族らが里帰りし、住民らもサトウキビ収穫を終えた午後からは親戚回りをする姿が見られた。
このほか、平良西原や久松などでもご馳走(ちそう)を備え、線香をたいて集落繁栄や航海安全などを祈願する姿も見られた。