オンラインで海洋体験 越谷特支校中等部生徒へ 海保業務伝える

 福井大学連合教職大学院でサテライト特命教授の福島昌子さんが代表を務める、海・空・子どもプロジェクト実行委員会は18日、埼玉県の越谷特別支援学校中学部の生徒向けに宮古島海上保安部の巡視船上で「健康課題・特別な支援を必要とする児童・生徒の海洋教育協働探求カリキュラム開発プロジェクト」を実施した。

福島代表も子どもたちと交流を深めた


 同授業はオンラインライブ配信を通じて行われ、海上保安庁職員による巡視船内部の紹介や業務説明をメインに放水銃発射の実演も行われた。子どもたちは発射の瞬間に歓声を上げ、授業終了後には「学びの多い貴重な体験だった」との声が聞かれた。
 このプロジェクトは、病弱・身体不満足な子どもたちの学びを個別最適に保障し、社会性を培うことを目的に総合的な学習の一環として実施された。
 授業は巡視船が平良港から伊良部大橋までの距離を往復する時間内に行われ、質問コーナーでは「乗組員になって大変だったこと」「仕事での思い出」などの質問が投げかけられた。
 生徒らとの受け答えを行った酒井達也主計士補は授業後、「普段交流できない子たちと話せてこちらも勉強になり、元気ももらえた」と話し、福島代表は「子どもたちが授業中にいきいきしている様子を見て、授業の手応えを感じていた」と述べるなど内陸県に住む12人の生徒にとって海と人との関わりを学ぶ貴重な機会となった。
 同プロジェクトは昨年9月にも東京都葛飾区立保田しおさい学校の児童を対象に実施されており、今年5月から2025年3月までの期間で行われる予定。
 きょう19日とあす20日には子どもたちが考えたバリアフリーの宮古島観光コースを教員らが視察し、教員研究大会での成果発表なども予定されている。
 日本の教育の基本方針が議論される中央教育審議会の答申「令和の日本型学校教育」では、新しい時代を見据えた学校教育の姿として、多様な子どもたちを誰ひとり取り残すことのない個別最適な学びの表現、その学びを支える質の高い教育活動を実現可能とする環境整備が求めてられているという。
 最終目標としては、自己の想像の扉を開く力になるこのカリキュラムを普通学級の学校教育にも波及し、多様な人間教育につながっていくことにあるとのこと。

関連記事一覧