低所得世帯が2千件増加 市議会臨時会 全会一致で予算案通貨 恒常的な畜産経営支援を要望
宮古島市議会(平良敏夫議長)は9日、第5回市議会臨時会を開き、座喜味一幸市長が総額8億2904万円余の増の補正予算案を上程した。補正予算の使途は、7億円余の国庫支出金で定額減税補足給付事業、価格高騰重点支援給付事業、消費喚起応援事業を実施するほか、財政調整基金からの繰入金1億円余が、子牛価格安定緊急対策事業と畜産飼料高騰対策事業、景観計画に係る意向調査費に当てられる。同案は本会議質疑を経て全会一致で可決された。
市は飼料価格の高止まりの影響で厳しい経営が続く畜産農家に向けて、沖縄県が実施する同様の支援策では対象外となる飼料品目について、宮古島市独自の飼料購入費補助を行うとし、補助額を「1頭あたり繁殖牛で500円、子牛5千400円、肥育牛2万8400円、やぎ2千200円。採卵鶏は100羽あたり3万5100円の定額補助」と説明した。
さらに、市和牛子牛価格安定緊急対策費4千900万円余について「宮古島セリ市場の平均価格が県平均価格を下回った額を、市が全額補填(ほてん)する」として、補助額は四半期毎に算定すると説明した。補助期間について市が「12月のセリまでを対象にしている」と回答。
多くの市議からは「両補助とも、基金取り崩しを財源とした緊急対策的な事業であり、畜産農家の経営基盤を恒常的に支援する抜本的な取り組みが求められる」との意見が相次いだ。市は「畜産業を継続的に支援できる体制構築や財源確保に向けた検討を行う」と応じた。
福祉関連では価格高騰重点支援給付金1億6千万円余が計上された。市は増額理由を「6月補正の段階で新たに給付対象となる世帯を700件と設定して予算計上したが、実際には新規の住民税非課税世帯が900件、住民税均等割りのみ課税世帯400件増加していることで今回の増額補正となった」と説明した。
この結果、本年度で新規に給付対象となった世帯は2千件となる。対象世帯は市から送付される申請資料を提出することで、一世帯あたり10万円の給付と18歳未満の子ども加算(一人あたり5万円)の給付を受けられる。また、定額減税3万円を所得税の特別控除で満たせず、補足給付の対象となる納税者を9千450人とし、被扶養者を含めた給付総数が1万7360人になると説明した。
経済活性策として実施する消費喚起応援事業は、電子マネー等によるキャッシュレス決済に対してポイント還元を行う費用として1億7千万円余を計上し、観光閑散期の消費喚起を目指すとした。事業導入による経済効果を問われた市は、「消費目標額を7億5千万円に設定した」と回答したほか、景観計画の協議資料とするために、市民アンケートを実施する費用計上も議会の承認を得た。