みゃーくふつの奥深さ、魅力語る セリック・ケナン氏 琉球諸語の多様性など解説 市文化協会方言講座
市文化協会(饒平名和枝会長)は24日、市未来創造センターで国立国語研究所特任助教のセリック・ケナン氏を招き、「みゃーくふつ講座」を開催した。ケナン氏は宮古方言を交えながらその成り立ちや発音、表現、文法などについて解説し、時折参加者に問いかけるなど実際に方言を声に出しながら楽しく学びを深めた。会場には予定定員を大幅に超える参加者が詰めかけ、宮古方言に対する市民の関心の高さが伺えた。
同講座はみゃーくふつの特徴などを楽しく学び、普及継承につなげる機会創出を目的に開催され、饒平名会長がケナン氏を紹介するとともに副題の宮古方言で表現した「みんなで話してみよう」のコンセプトを挙げ、「講座を通して方言に親しみ、その奥深さや魅力について存分に味わってほしい」と述べ、みゃーくふつの特徴など実践的な内容となることに期待を込めあいさつとした。
ケナン氏は2014年から研究を始め、多良間島や水納島の方言に関する著書を発刊するなど、その保存・継承に熱心に取り組んでおり、ケナン氏によると「宮古方言は琉球諸語と呼ばれるグループに属する。琉球諸語はそれぞれに共通する部分もあるが、地域が異なると会話がまったく通じなくなるなど独自の発展を遂げている部分も多い」と話し、自身の経験として八重山地域を訪れた際に現地の方言が全く理解できなかったエピソードなども語られた。
その特徴としては、▽日本語の古い表現がそのまま残っている▽文字継承ではなく、口伝継承から日本語の発音にはない音が多い▽ある一つの物に対して、それを表す言葉が数多く存在する―ことなどを挙げ、実際に発音したり、音声データを挙げながらそのユニークさについて解説した。
また、「日本語の発音にないということは、仮名表記もできない」として芋、魚、ナマコや油を表す宮古方言の発音は特に困難であると話し、会場にいた参加者らもそれぞれ方言を口にして、悪戦苦闘しながらも果敢に正しい発音に挑戦し理解と学びを深めた。
後半には参加者が当日の学びを生かして自己紹介のロールプレイングを行い、「宮古方言は全くわからない」と話していた神奈川県出身の男性がしっかりと方言での会話を成立させた姿に、会場からは大きな拍手が沸き上がった。
質疑応答では「宮古方言には箸と橋のように同じ音の言葉を区別するためのアクセントの使い分けがないのではないか」との問いにケナン氏は、「例えば下地与那覇では、日本語と同じようにアクセントでの意味の使い分けが存在するが、一般的にはない」と見解を述べた。
ケナン氏は節々で方言でジョークを交えるなど終始和やかな会場で普及継承を楽しく学べる講座となった。