「来間株」養殖モズク初収穫
2022年産養殖モズクの初収穫が19日、平良西原の大浦漁港で行われた。この日は1.6㌧ほどを収穫し、全体では2000㌧を超える生産を見込んでいるという。枝が太くて長い「来間株」を宮古島独自のブランドとして初めて大々的に売り出すことになり、生産者の所得向上に期待が寄せられている。コロナ禍に加えクルマエビの全滅や軽石問題などに悩まされてきた漁業関係者は、久しぶりの明るいニュースに声を弾ませていた。
来間島周辺で採取された天然モズク由来の「来間株」は沖縄本島由来のS株に比べ枝が太く長く、小枝も少ないことで異物が混入しにくいのが特徴。市では一部の生産者が長年地元のモズクを養殖に使って来たが、宮古独自のものと認識されていなかったという。
市海業センターが養殖試験を進めて品質の良さを確認。同センターや宮古島漁業協同組合(栗山弘嗣組合長)などは「来間株」の生産を市全体に拡大し、宮古島ブランドを確立することで付加価値・生産者所得の向上を目指している。
栗山組合長は「宮古島のモズクはとても素晴らしいものということを広くアピールして販路を拡大していきたい。ブランド確立に向けてさまざまな方策を市などと協議している」と意気込みを語った。
養殖モズクのピークは3、4月ごろで、シーズンは5月まで続く。今期の生産は2300㌧ほどを見込んでおり、そのうち半分強の1300㌧ほどを同漁協が扱う予定となっている。
この日収穫を行った池田昭幸さんは「太くてしっかりしているし色も良い。いいモズクができたと思う」と喜んだ。トンガの海底火山噴火による津波の影響で鉄パイプが数本抜けてしまい、長いモズクが切れるなどの被害もあったという。
6次産業化や地産地消推進での1次産業従事者の所得向上は座喜味一幸市長の重要公約で、漁業では他に伊良部漁協産のマグロを学校給食に活用する計画が進んでいる。