絶滅危惧ミヤコカナヘビ展示スタート 市博物館 安里氏講演 命つなぐ草むら管理など訴え
宮古島市総合博物館で8月30日から「ミヤコカナヘビ生体展示」が始まった。宮古諸島だけに生息する環境省の国内希少野生動物「ミヤコカナヘビ」の生きた個体を9月27日まで鑑賞できる。初日は最新のミヤコカナヘビ生態解明と保全をテーマにした講演会があり、沖縄美ら島財団総合研究所研究員の安里瞳氏が長期の調査で判明したミヤコカナヘビの独特なライフサイクルや生息密度の重要性を解説。絶滅が危惧される固有種の保護に向け、生息地の草むら管理の工夫や地域全体による連携の重要性を訴えた。

講演会は2026年度第1回博物館講座として午前中は小中学生を、午後は一般を対象に行われた。
安里氏の専門分野は動物生態学および保全生物学。主に爬虫類の生活史や、琉球列島に生息する爬虫両生類の基礎生態・保全に関する研究を行っており、琉球大学理学部海洋自然科学科を卒業後、同大学院理工学研究科にて海洋環境学などを専攻し、25年には博士号(理学)を取得した経緯がある。
一般向けの講演で安里氏は、宮古諸島について「地史的な背景から在来のカメ類が不在で南琉球でありながら台湾、中国大陸の種に近縁なミヤコカナヘビなど由来が特殊で学術的に貴重な固有種が数多く生息している」と説明した。
ミヤコカナヘビは全長の3~4倍にも及ぶ長い尾が特徴で、1996年に新種として記載された。70~80年代には島内の草むらで日常的に見られたが90年代以降に急減。宅地や商業施設等の開発に伴う生息地の消失・断片化、外来種イタチによる捕食、農薬の影響などが複合し、現在は絶滅の危機に直面している。
約5年間にわたり実施した標識再捕獲調査では、ミヤコカナヘビが爬虫類としては極めて珍しい「年内繁殖(半多生)」を行う生態を持つことが明らかになったという。
5月ごろに生まれた「春生まれ」の幼体は3日で1ミリという驚異的な速度で成長し、わずか2・5~3カ月で成熟し、その年の秋(7~11月)には自ら産卵を開始する。寿命は約1年と非常に短いため春生まれの個体が秋に産む「秋生まれ世代」が翌春の繁殖を担うサイクルが集団の維持に不可欠となるという。
さらに生息密度の比較調査からは、高密度な環境では成長率や生存率が高く年内繁殖が成立するのに対し、低密度な環境では成長が遅れて年内繁殖に至らないことが判明。単に個体が存在するだけでなく「高い生息密度が保たれた環境」が種維持の鍵を握るとのこと。
保全に向けては、翌年の繁殖親となる秋生まれの個体を守るため「秋口の大規模な草刈りを避けること」や「逃げ場を残すため時期をずらして半分ずつ刈ること」などの工夫を提案。孤立した草むらを公園や庭の緑地でつなぐ取り組みも呼びかけた。
講演会では生息域内での調査・保護活動に加え、島外の施設で飼育や繁殖技術の確立を図る「生息域外保全」の重要性も併せて紹介した。




