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現役東大生・津波克樹さん

現役東大生・津波克樹さん、国連で沖縄への思い訴え 「沖縄は一つの政治的な物語だけで語られるべきではない」

 【ジュネーブ】スイス・ジュネーブの国連欧州本部で開催された「先住民族の権利に関する専門家機構」(EMRIP)のサイドイベントで、沖縄市出身で東京大学経済学部3年の津波克樹さんが演説を行った。津波さんは「沖縄は一部の政治的な主張だけで語られるべきではない」と訴え、沖縄で生まれ育った自身の経験や家族、地域での生活に基づき「沖縄の人々が日本人とは別の先住民族であるという認識を持ったことは一度もなかった」と強調した。本紙では、沖縄県民のアイデンティティや存在を揺るがしかねない同問題と、地球の裏側であるジュネーブの国連本部で繰り広げられる地方議員団らの活動の様子をシリーズで多角的に報告していく。今回は第7弾。

 津波さんは、サイドイベント「地政学と先住民族―今後10年間におけるUNDRIP*実施の推進」をテーマとしたセッションで、日本戦略技術協会(Japan Association for Strategy and Technology)の代表として登壇した。
 冒頭から「私は沖縄で生まれ育ちました」と切り出し、「沖縄県民全体を代表するかのように『沖縄の人々は日本とは別の先住民族である』との主張が国連で扱われることに強い懸念を抱いている」と述べた。
 演説では、「それは私のアイデンティティーではない。家族や学校、地域社会で育つ中で、そのような認識を持ったことは一度もなかった」と語り、「沖縄の文化や歴史に誇りを持ちながらも、日本人としての自覚を持っている。この二つは決して矛盾するものではない」と強調した。
 また、沖縄の歴史や文化の独自性を認めつつも、「地域文化の独自性と先住民族であることは別の問題」と指摘。戦後の日本復帰運動についても「復帰を求める声は東京から押し付けられたものではなく、沖縄の人々自身による運動だった」と説明した。
 さらに辺野古を巡る反基地運動についても言及。「若い世代を政治的な運動の道具として扱うべきではない」と述べ、「活動家は発言する自由を持つが、それが沖縄県民全体の声に置き換えられてはならない」と訴えた。
 国連での演説を終えた津波さんは、その後のインタビューで「沖縄で20年近く暮らしてきたからこそ強い違和感があった」と明かした。自身が沖縄で生まれ育ちながら、国連で「沖縄の先住民族問題」が議論されている事実を最近知り、自身の実感との大きな乖離(かいり)から国際舞台への登壇を決意したという。
 演説では遺伝学的な知見や歴史的経緯にも触れたが、津波さんは「何よりも伝えたかったのは、沖縄で生まれ育った一人として、自分の実感とは全く異なるということだった」と真情を語った。
 津波さんは現在、東京大学経済学部に在学する傍ら、現在は申請中だが沖縄の若者のキャリア形成を支援する学生団体「ALOHA(アロハ)」の設立にも取り組んでいる。その背景には「沖縄には中央省庁や大企業が少なく、将来のキャリアを描きにくい現状がある」という課題意識があり、それを少しでも改善したいという強い思いが活動の原動力となっているという。
 今回の国連での経験を踏まえ、「沖縄の未来をより良くするという現在の活動とも重なる部分が多い。将来の進路は未定だが、いつか沖縄に還元できる活動をしていきたいという思いが一層強くなった」と故郷への誓いを新たにした。
 国際舞台で自らの言葉で沖縄への思いを発信した現役東大生・津波克樹さん。その姿は、沖縄で生まれ育った一人の若者が、自らの経験をもとに世界へ向けて声を届けた一つの事例となった。 (ジュネーブ特派員 吉岡綾子)

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