宮古島出身・狩俣、引退懸けた大舞台で前進 長崎ヴェルカ、A東京に連勝しBリーグ4強入り 初CSで歴史的快進撃
【記事提供・沖縄バスケットボール情報誌OUTNUMBER(アウトナンバー)】
プロバスケットボールBリーグ・長崎ヴェルカに所属する宮古島出身の狩俣昌也(38)が、現役最後のシーズンで大舞台を戦っている。今季限りでの引退を表明している狩俣にとって、チャンピオンシップ(CS)は「敗れれば現役生活終了」となる戦い。その中で長崎は、りそなグループB.LEAGUECHAMPIONSHIP2025-26クォーターファイナルでアルバルク東京を相手に2連勝を飾り、クラブ史上初となるセミファイナル進出を決めた。
第1戦は5月7日、長崎市のHAPPINESSARENAで行われた。B1参入3年目で初のCSに挑んだ長崎は、序盤こそ硬さが見られたものの、後半に本来のスタイルを発揮。93―78で逆転勝利を収め、歴史的なCS初勝利をつかんだ。
この試合で狩俣の出場機会はなかった。しかし、2021年のクラブ創設時からチームを支えてきたベテランは、ベンチから仲間へ声を送り続け、若い選手たちを鼓舞。コートに立たずとも存在感を放った。
試合後、長崎のモーディ・マオールヘッドコーチは「おそらく緊張感はあったと思う。ただ後半は長崎らしいバスケットができた」と振り返った。
後半の流れを引き寄せたのは、攻守で奮闘した馬場雄大だった。得点面だけでなく、アルバルク東京の得点源マーカス・フォスターへの激しい守備でもチームを支えた。
馬場は「前半は相手のリズムに合わせてしまった部分もあったが、我慢しようという共通意識を持って戦えた。それが後半につながった」と語り、初のCSを戦うチームを落ち着かせた。
続く第2戦(8日)は、長崎が序盤から圧倒した。
#7ジャレル・ブラントリー、#11熊谷航、#5イ・ヒョンジュンの外角シュートが次々と決まり、試合開始直後に12―0のラン。ホームアリーナは大歓声に包まれた。
特にイ・ヒョンジュンは止まらなかった。前半だけで23得点を挙げ、3本の3点シュートに加え、フリースローも12本全て成功。長崎は45―27と18点差をつけて前半を終えた。
後半も長崎の勢いは衰えない。強固なディフェンスから速攻へつなげ、アルバルク東京に反撃の糸口を与えなかった。
そして会場が最も沸いたのは、第4クオーター残り4分だった。
狩俣がコートに立つと、アリーナの空気が変わった。トップから放った3点シュートがリングを射抜くと、この日一番とも言える歓声が響き渡った。
宮古島出身のベテランガードが刻んだ一本。創設期からクラブを支えてきた功労者への歓声には、ファンの思いが詰まっていた。
長崎は96―56で快勝。アルバルク東京を圧倒し、2連勝でセミファイナル進出を決めた。
イ・ヒョンジュンは27得点10リバウンドのダブルダブルを記録。馬場や熊谷がファウルトラブルに見舞われる場面もあったが、ベンチメンバーが役割を果たし、チームの層の厚さを示した。
また、長崎はクォーターファイナルを木、金曜日で連勝したことで、次戦まで一定の休養期間を確保。モーディHCは「自分たちで勝ち取ったスケジュール」と胸を張った。
一方、5月9日(土)から始まったもう一つのクォーターファイナル、千葉ジェッツ対群馬クレインサンダーズは最終第3戦までもつれる激戦となった。接戦の末に千葉が勝利し、5月15日(金)から長崎で行われるセミファイナルへ駒を進めた。
長崎にとっては、クラブ史上初となるBリーグ4強の舞台。狩俣にとっても、現役最後のシーズンで挑む新たな大一番となる。
狩俣は、チャンピオンシップという舞台に立っている喜びをこう語った。
「シーズン始まってから変わらず目標はひとつ(優勝)。そこにたどり着くために目の前の試合を丁寧にこなしていく」
派手な言葉ではないが、その一言には長年プロの世界で戦い続けてきたベテランらしい覚悟と重みがにじむ。
長崎ヴェルカの快進撃は、単なるクラブの躍進にとどまらない。宮古島出身の38歳が、現役最後の舞台で、また新たな歴史をつくり続けている。



