小泉防衛大臣(右)に要望書を手渡す嘉数市長 =市役所

国民保護計画伴う住民避難支援を要望 市長、小泉防衛大臣に

 小泉進次郎防衛相が22日、上野野原の航空自衛隊宮古島分屯基地の視察のため来島し、市役所で嘉数登市長と懇談した。小泉大臣は自衛隊への理解、受け入れに感謝し、自衛隊の防衛力強化や日米共同訓練などで日米同盟の抑止力、対処力を向上させていくことが重要との考えを示した。嘉数市長は「安全保障環境が厳しさを増す中、住民の安全確保が重要な課題」と述べ▽災害時の「特定臨時避難施設」整備後の維持費▽自衛隊活動の住民説明会▽国民保護計画の住民避難への支援―を要望した。防衛相就任後、小泉氏の沖縄訪問は初めて。
 懇談では小泉氏があいさつし、嘉数市長がそれに応じたあと、特定臨時避難施設など3点を要望。その後は非公開で行われた。
 特定臨時避難施設は、市総合体育館に緊急一時避難施設を持つ地下駐車場を整備する計画。地震や台風などの災害発生時、避難した人たちが安全に滞在できるような広さが設けられる。これには「自衛隊を受け入れる自治体ならではと考えており、特段の配慮をお願いしたい」と述べた。
 自衛隊活動に対する住民への丁寧な説明と防衛施設周辺地域の住民福祉向上の支援も要望。自衛隊としての説明会実施に小泉氏は「しっかり対応していきたい」と述べたという。
 国民保護計画では住民は九州の鹿児島、熊本、福岡、宮崎の4県15市町に避難することになっていることや各避難先の知事らとも意見交換してきたこと、避難では実地訓練したことも説明し「今後いろいろ詰めていかないといかないことがある。政府として特段の支援をお願いしたい」と述べた。
 懇談後、報道各社の質問に嘉数市長は、住民避難には「4県15市町に分かれることから、同じ学校の児童らが別々になることに市民の不安があることも伝えた」と話し、要配慮者の避難では「エッセンシャルワーカーの専門職が付いていくことになるが、その人員確保は市だけでは難しい。沖縄県や国にも支援をお願いしたい」との考えを示した。
 小泉氏から日米共同訓練の話があり、石垣市では合同訓練が行われたが(国から)打診があったらどうするかについては、「市民の受け止めをしっかりと考えながら対応しないといけない。大臣からは必要だという話があったが、宮古島市では自衛隊に理解を示す中でも米軍に対してはさまざまな思いがある」と述べた。
 小泉防衛相はこの日、空自の宮古島分屯基地を訪れ、レーダーによる監視施設を視察したとのこと。きょう23日には陸自の石垣駐屯地を視察。同日午後に与那国島を訪れ、地元首長と面会する予定となっている。

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