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糖蜜回収船の故障が要因で10日間ほど原料搬入と工場操業が停止となる =沖縄製糖宮古工場

沖糖、10日ほど操業停止 糖蜜タンクが許容量超 糖蜜回収船故障要因 「農家らに理解、協力を」

 沖縄製糖宮古工場は原料搬入および工場操業を1日から10日間ほど停止することを発表した。製糖副産物である糖蜜を回収する取引業者が保有する2隻のうち1隻が故障したことで回収に影響が出たことにより、糖蜜タンクの貯蔵量逼迫(ひっぱく)による操業の一時中断に追い込まれた。同社は糖蜜取引業者に早急な回収を強く要請しているが、早くても10日になりそうだという。同社は31日に説明し、「順調な製糖操業だったが、ここにきて停止せざるを得ない状況になった」と述べ、農家やハーベスターら関係者への理解と協力を求めた。
 同社の高橋和義農務部次長、宮國泰浩総務課長は工場以外の要因で停止となる状況について説明した。
 それによると現在、糖蜜取引業者は日本に1社しかないため、沖縄や鹿児島の全ての製糖工場の回収を行っている。輸送船2隻で回収していたが1隻が故障したあとはもう1隻のみで回収しているとのこと。
 同社は2022年に糖蜜タンクを1基から2基に増設。1カ月に1~2回で約650㌧を出荷していたが、今期は1度も出荷ができていない。
 糖蜜タンク1基で1600㌧、2基で計3200㌧の容量があるが糖蜜の膨張などがあるため2400㌧程度が限界という。今期1度も回収がない中で1基のタンクは満杯。もう1基も限界に達することから、このまま操業を継続すれば容量を超える事態が予想されるため、原料搬入と工場停止に踏み切った。
 故障船には早急な修繕を依頼しており、他船へのスイッチが可能かどうかなどは糖蜜取引業者が手を尽くしている状況だという。
 収穫および搬入の停止による原料代収入時期の遅れやハーベスター、積込車、運搬車など人員の確保や経費支払い等への影響が懸念される。
 今後の見通しについては「現在の取引状況が続いた場合、再稼働を行っても再び停止となることが予想される」「搬入量を制限し、工場処理能力を下げて工場を稼働させる」「工場処理能力の低下により操業日数の期間が延びる」「島内の取引業者・個人の検討」を挙げた。
 高橋農務部次長は「(今期は)順調に製糖が始まり、1月は7万2千㌧が搬入された。天気は良いがハーベスターには2日前から止まっていただいた。みなさんには迷惑をかけているが、糖蜜を出荷できない限りは工場が動かせない。ご理解をお願いしたい」と話した。
 糖蜜とはさとうきび精製の際の▽搾り汁の濃縮▽結晶化▽分離―を行い、最終的に産出される砂糖以外の製糖副産物の一つ。他の製糖副産物(バカス、ケーキ、灰)と同様、操業を行った際に産出される。

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