新年度当初予算の説明を受ける予算決算委員会 =市議会全員協議会室

422億円超の予算審査 市議会予算決算委 行政と議会の真剣折衝

 宮古島市議会では市政運営の根幹となる当初予算項目の内容確認や疑問点を議員全員で共有すること目的に、新年度当初予算と決算審査においては全議員で構成する予算決算委員会(下地茜委員長)を開催している。市当局は予算案の議会承認がなければ事業執行ができない中で、全議員に一斉に担当事業の有用性を伝えられる機会となり事業説明にも力が入る。予算審査初日となる7日は総務費、民生費、土木費など11項目の歳出に対する質疑が行われた。
 総務費で質問が集中したのは、充当事業範囲が広く高補助率で事業執行が可能な沖縄振興特別推進費(一括交付金)の活用事業である。2024年度は6億1500万円となる同交付金を活用して24事業が提案され、事業費総額は9億5149万円余が計上された。
 近年は県全体での予算執行率が課題となり、国からの予算が減額傾向にある同交付金ではあるが、宮古島市においては選手派遣費補助費やひとり親支援事業、地下水保全調査費、観光地や公園の整備維持費、地産地消事業や優良母牛更新補助金から歴史文化活用事業まであらゆる分野で多岐にわたって活用されている。
 建設部が主体となる土木費では、多くの委員から道路白線等の修繕や道路清掃などの環境整備の要請が上がったほか、港湾区域のみなとまち、中心市街地、市役所周辺、佐良浜地区のまちづくり計画に対する予算措置や事業スケジュールの確認を行った。
 委員から市営住宅の運用状況を問われて、市は「総数1460戸のうち95戸程が空室」だと回答。「年2回の定期募集ではなく、空室発生時に随時募集を行い住宅困窮者に対応する」ことを委員が求めたが、市は「随時募集を実施した時期もあるが、今は年2回の募集に戻った。管理手続き上で難しいと思われる」と応じた。委員からは全市営住宅の一括管理を分割管理にする検討を求められた。
 今年度比で14億円余の増額で142億円余を計上した民生費の中でも2億7600万円余増加した生活保護費の要因を市は「コロナ禍で控えていた通院等の再開が医療費増加につながった」としたほか、高齢単身世帯の増加も要因とした。
 一方で、医療渡航費補助やひとり親家庭支援などは予算を拡充して計上されたほか、今年度新設して好評を得たシニアカー購入補助の継続も示した。
 商工費の商工部門では、ふるさと納税の歳入増に向けた返礼品開発事業として島の特産品開発やものづくり・製造業支援策の拡充が示された。観光分野では宮古空港に2言語対応の観光AIコンシェルジュ機を導入する計画や宮古島夏まつりでの花火大会実施などを支援する予算が計上された。
 消防費では新規導入予定の救助工作車輌の解説のほか、市民が体調不良の際に救急搬送を求めるか否かの判断をサポートする救急安心センター(#7119)事業の新設を紹介した。

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