「宮古島市史第3巻自然編第Ⅱ部みやこの自然と人」などの発刊を発表する大城教育長(右)ら =市役所3階会議室

自然と人の関わりテーマ 市史自然編Ⅱ部を発刊

 市教育委員会(大城裕子教育長)は4日、市役所で「宮古島市史第3巻自然編第Ⅱ部みやこの自然と人」「宮古島市史資料8佐良浜の祭祀歌謡│モトムラのオヨシを中心に│」の発刊を発表した。膨大な聞き取り調査に基づき編集された「みやこの自然と人」は自然と人々との関わりを歴史・民俗的な視点で捉え、さまざまな動植物の各地の方言名や利用方法なども紹介。「佐良浜の祭祀歌謡」はオヨシの伝承のため初めて活字化された。
 市役所3階会議室で記者発表を行った大城教育長は「自然編第Ⅱ部の特徴は自然のみに焦点を当てるのではなく、自然と人との関わりをテーマにした点にある。県内でも初めての取り組みだと思う。自然分野だけでなく考古学や歴史学、民俗学などさまざまな視点からアプローチされている」と話した。
 その上で「本書の大部分を占めるのは地区ごとにまとめた動植物の方言名と利用の仕方。同じ動物や植物でも地区によって違いがあり、それを音声表記して利用方法を詳細に報告していることは本書の大きな成果であり、宮古の動植物を調べる上での辞書と言っても過言ではない」と述べた。
 「佐良浜の祭祀歌謡」は、佐良浜で神役が選出されず集落の祭祀が途絶えたことから、モトムラで祭祀歌謡「オヨシ」を謡う役目を務めてきた長崎国枝さんの協力を得て作成。大城教育長は「沖縄の他の地域では見られない佐良浜の無形文化財とも称されている。これまで聞き伝えで伝承されてきたが、この文化遺産を後世に伝えたいという強い思いから活字化が実現した」と話した。
 「自然編第Ⅱ部」は市内の小中学校、高校、執筆者、図書館などに配布されるが、約130部が一般販売される。販売価格は5000円(税込)でブックスきょうはん宮古南店とTSUTAYA沖縄宮古島店で販売される。「佐良浜の祭祀歌謡」は市史編さん室、市立図書館で閲覧できる他、市電子図書館での利用も予定している。

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