市議会経済工務委員会で指定管理が否決された農産物加工場 =下地川満

指定管理者選定を否決 下地の農産物加工施設 経済工務委

 宮古島市議会の経済工務委員会(西里芳明委員長)は16日、一般会計補正予算案のうち農林水産部などが所管する事業などの、付託された議案を審議。下地川満の農産物処理加工施設に指定管理者を指定する提案について、反対多数で否決した。イモの加工などで農産物の高付加価値化や販路拡大を目指すものだったが、5万円以上の修繕が市の負担となることが疑問視され、指定管理ではなく無償で賃貸すべきとの指摘が出た。
 同施設は以前、旧下地町の第3セクターとして発足した民間事業者が、2023年度末までの契約で指定管理を受けていた。同社が22年3月に破産手続きを行ったため、契約途中で管理者が不在になる事態に。市はイモ農家を保護するため、ペースト加工のみの暫定操業を続けていた。
 施設本来の目的である生産物の高付加価値化や販路拡大、生産農家の所得向上を達成するため、新たな指定管理者を選定。7月1日からの稼働を目指し、定例会に議案を提出した。
 複数の委員が施設の現状や今後の維持管理費の見通しを質問。石川博幸農林水産部長は「耐用年数が残り7年で、やや老朽化が進んでいる。昨年12月の補正予算に計738万円の修繕費を計上し、今後も発生が見込まれる」と説明。市の指定管理の規定では、5万円以下の修繕は管理者が、それ以上の場合は市が受け持つことになっている。
 委員らはイモの加工という施設の目的には理解を示しつつも、営利目的で使用する事業者の修繕費を市が負担することを強く疑問視。上地廣敏氏や新里匠氏が、「この施設を市がリスクを取ってまで管理する必要性が感じられない。指定管理ではなく無償で貸与して、修繕などは企業努力で収益の中からねん出してもらうという形が望ましい」と提案した。
 議決権を持つ委員のうち、採決で賛成に挙手したのは長崎富夫氏一人のみで、反対多数により指定管理案は否決された。
 補正予算案や市の公用車が起こした交通事故の損害賠償など、その他の議案は原案通り可決。事故の相手はけがを負っており、賠償額は133万円。市の児童生徒の発達障がい増加に関する実態調査と原因究明などを求める陳情書は、継続審査と決した。

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