もんぺを履き、太平洋戦争時の学校生活の様子を演じる子どもたち =市未来創造センター

涙あり笑いありの市民劇 21人が沖縄の悲劇熱演

 宮古島市民による劇「知られざる沖縄戦~宮古島の戦争の話~」(主催・文化庁、日本劇団協議会)が4日、市未来創造センターで上演された。小学生から一般までの21人の市民が宮古島で起きた戦争の悲劇をみゃーくふつを交えながら舞台の上で演じ、語り継いだ。230人分設けられた客席は満席で、舞台では笑いあり、涙ありで事実に基づいた戦争体験を熱演、観客を感動の渦に巻き込んだ。演劇は5日も午後3時開演で行われる。
 劇は戦争を体験していない世代に戦争の悲劇を伝えるため、沖縄県史や宮古島での証言、市教育委員会が発行する「綾道・戦争遺跡編」を参考に創作された。
 脚本・演出を手掛けた末吉功治さんは「この物語を通して戦争やみゃーくふつについて『もっと知りたい』と思ってくれればと思う」と話した。
 物語では夜の漁で火を焚いていた漁師らが灯火管制のため逮捕されたことや、島に海軍飛行場を建設するため畑などが軍に接収されたこと、男性だけでなく女性や子どもまで飛行場建設の重労働に狩りだされたことなど、戦時下に宮古で起きた出来事を紹介しながら、戦況の悪化により飢えや病気に苦しめられていく島民の姿が伝えられ、会場からは大きな拍手が送られた。
 戦争を体験したという88歳の女性は「覚えていることもある。方言もあって、いい劇だった」と話した。
 平良中2年の鋤柄里瑚さん、砂川愛奈さん、名嘉真理子さんは「すごい感動した。今は平和だけど、本当に戦争が起こったら怖いと思った」と感想を述べた。
 同市民劇は文化庁の「戦略的芸術文化創造推進事業」で宮古島市文化協会の砂川春美理事が方言講師、本島で活動している劇団TEAMSPOTJUMBLEが演技指導などを行い、昨年度から太平洋戦争をテーマに取り組んできた。
 主役を演じた西里ことはさん(南小5年)は「難しかったけど感動して泣いている人がいたと聞いてうれしかった」、砂川昌璃さん(城東中1年)は「5日はもっとクオリティが高い演技ができるよう頑張りたい」と意気込みを述べた。
 13日~19日の間は動画配信も行っている。日本語の字幕付きで申し込みサイト「イープラス」で視聴可能。料金は800円(システム利用料別途220円)。

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