市内の被害情報について情報共有する市職員と自衛隊員 =市役所

大津波想定し実働訓練 市初の「美ら島レスキュー」

 県と陸上自衛隊第15旅団は12日、県内での大規模地震や津波を想定した訓練、「美ら島レスキュー」を宮古島市で初めて実施し、防災関係機関の連携強化を図った。沖縄本島南東約100㌔を震源とする地震が発生し、宮古島を5~10㍍の津波が襲うと想定。市役所に設置された対策本部では自衛隊と市・消防・警察・海上保安部が被害情報などの情報共有を行い、市内各地で人命救助や物資輸送、炊き出しといった実動訓練が展開された。
 「美ら島レスキュー」は2012年度から16年度までは自衛隊主催、17年度からは県と自衛隊の共催で開催されている全県規模の大規模訓練。コロナ禍の中断を挟み22年度で計8回目の開催となる。
 南西諸島の東には鹿児島沖から台湾までの1000㌔超にわたり、フィリピン海プレートが沈み込む「琉球海溝」が走っている。政府の地震調査委員会は昨年、海溝型地震に関する長期評価で、南西諸島でマグニチュード(M)8の巨大地震が起き得るとした。
 この日の訓練では、沖縄本島沖の琉球海溝内でM9の地震が発生、宮古島市の震度は5強から6弱で、南海岸に5~10㍍の津波が押し寄せると想定した。
 市役所に市対策本部や陸自の指揮所を設置。市や市消防本部、宮古島警察署、宮古島海上保安部から刻一刻と寄せられる被害情報を共有し、自衛官が巨大な地図に書き加えて行った。
 シミュレーションだけでなく、市内各地で実動訓練も展開。川満漁港と久松漁港では、孤立した要救助者を捜索するためにドローンによる情報収集を行い、ボートを使った人命救助訓練を実施。伊良部島では倒壊家屋や車両に閉じ込められた住民の救助活動を行ったほか、大橋が使用不可能となり島が孤立した事態を想定して物資や水を輸送した。また炊き出しとしてカレーを調理し、見学に訪れた市民らに振る舞った。
 第15旅団の井土川一友旅団長は島しょ県の沖縄では、災害時の人命救助や物資輸送に航空機の運用が不可欠であることや、関係機関の連携の重要性を強調。また、「人命救助や生活支援の実効性を高める訓練に日夜励み、市民の皆さんに安全安心を感じていただくことも我々の重要な役割。引き続きご理解とご協力を願いたい」と述べた。

人命救助などの実動訓練も各地で行った=久松漁港

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