大会では本土復帰直後の貴重な映像が上映された =狩俣集落センター

伝統行事の現状考える 復帰直後の祭祀映像上映

 第44・45回日本映像民俗学の会沖縄・宮古大会(主催・同会、共催・狩俣自治会)が26日始まり、狩俣集落センターで狩俣や来間島、島尻の祭祀記録映像が上映されたほか、民俗文化を考えるシンポシンポジウムが行われた。同会会員のほか狩俣集落の住人など合わせて50人ほどが参加し、失われつつある伝統行事と琉球の精神文化の現状を探った。同大会は27日まで。
 大会初日のこの日、狩俣のウプグフムトゥ(大城元)など集落内の史跡を散策したあと、1999年に来間島などの祭祀を撮影した「女達の祭祀」、本土復帰後直後の狩俣祭祀を撮影した8㍉フィルム映像「ウヤーン」、72年の狩俣と島尻の祭祀を記録した「祖神秘祭(ウヤガンヒサイ)」が上映された。
 「祖神秘祭」は、72年撮影、73年にNHKで放映されたもの。ウヤガンの日を迎えてツカサが御嶽に向かうようすや、集落内での神酒づくりや祭りの様子が記録されている。
 ウヤガン(狩俣ではウヤーンと呼称)は市北部の大神島、島尻、狩俣で古くから伝わる秘祭。狩俣では集落背後の神域と祖先の神が鎮座するムトゥを中心に行われ、女性が神衣装をまとい集落の歴史をカミウタで詠み、豊穣を祈願するもの。島尻と狩俣では現在行われていない。
 シンポジウムは「変わりゆく風景と琉球の民族文化」をテーマとして行われ、新里光宏さんのほか同会の北村皆雄会長、岡田一男さんなどが登壇し、伝統行事の保存と継承などについて議論した。
 会に参加した来間島出身の国仲富美男さんは、「映像には自分が知っているおじいやおばあが登場していて懐かしいが、祭祀を継承するために自分が明日から何をするべきかも考えた。祭祀保存と継承の大切さを感じている」と話した。
 北村会長は「連綿と続く沖縄文化を見直し、地域との繋がりのなかで伝統行事のありかたを考えてほしい」と話した。

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