沖縄県が管理する下地島空港の全景(上空より) =伊良部佐和田(資料写真)

玉城知事「精査し判断」 自衛隊の展示飛行に含み

【那覇支局】玉城デニー知事は10日、県庁で会見し、政府が防衛力教科のために南西諸島の港湾や空港を自衛隊や海上保安庁などが使用できるように予算整備や運用を行う方針を進めていることに対し、「民間港湾や空港の使用を控えること、事前に十分な情報提供を求めており、引き続きそのような状況について担当部局と情報収集し、精査していきたい」と話した。その上で宮古青年団体連絡協議会らが求めている12月11日のブルーインパルスの展示飛行については、否定的な見解を示しつつも、「飛行場所や運用方法を精査し判断する」と含みを持たせた。
 下地島空港は1971年に当時の琉球政府(現・沖縄県)と日本政府が軍事転用しないという主旨の屋良覚書が締結され、72年に着工、79年から供用が始まった。屋良覚書を補完するものとして、79年に当時の西銘順治知事が森山欽司運輸大臣に宛てた「西銘確認書」がある。同空港は戦闘機が離着陸可能な3千㍍の滑走路があり、県が管理している。
 浜田靖一防衛相が国会や記者会見で下地島空港の自衛隊利用を念頭に置いた発言を行ったことについて、玉城知事は「日米の共同使用によって、なし崩し的に物事が進められることを一番危惧している。それにより、日米の安全保障体制に綻びを生じさせることは本末転倒である。これについては防衛省にしっかりと注意喚起や申し入れを含めて意見交換していきたい」と話した。
 宮古青年団体連絡協議会らが観光振興の一環として県に求めている宮古島分屯基地開庁50周年記念行事におけるブルーインパルスの展示飛行について、玉城知事は「防衛省と担当部局で現在、使用の可否について調整を行っている」と状況を説明。その上で「色々な考え方があり、ブルーインパルスも自衛隊の傘下の部隊であり、軍事利用と一体となっては屋良覚書の観点からしても認められない。しかし、どのような運用や形態で飛行するかについては様々な協議が必要だと認識しており、運用の状況によって認識を作り直す必要はあるだろう」と否定的な見解ながらも、実施方法や状況によって判断すると述べた。

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