事務用机やキャビネットなど備品の無償譲渡会に詰め掛けた市民ら =23日、旧平良庁舎地下駐車場

無償譲渡に大勢の市民 旧平良庁舎「不用備品」求め

 宮古島市(座喜味一幸市長)が23日、旧平良庁舎で実施した不要となった備品の無償譲渡会は、事務用机やキャビネットなどを求めて大勢の市民や事業所職員らが詰めかけて地下駐車場は熱気に包まれ、周辺道路は軽トラックを中心に多くの車両で一時渋滞となるなど混雑した。無償を歓迎する一方、使用可能な物品の状態に無駄を指摘する市民もいた。市は譲渡会を1回で終了するが、残った備品の処分なども含めて今後、対応を検討する方針だ。
 2021年1月の市役所総合庁舎開庁に伴い、平良庁舎は閉庁となり、事務用品は使用されずに各階に置かれたままとなっていた。これまでも市民対象の譲渡会を予定していたが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で実施が未定となっていた。市内の1日当たり新規感染者数が減少し、10月に入って数人程度と落ち着いたことから実施した。
 同日は午前9時開始予定だったが、市総務部財政課によると午前8時前からトラックの車列ができたこともあり、譲渡会を前倒しで開始。詰めかけた市民や事業所の職員らは地下駐車場いっぱいに積まれた事務用机やイス、キャビネット、書棚、テーブル、ソファーなどを品定めし、運び出してトラックなどに積み込む作業に汗を流した。
 同課によると譲渡会の参加者は定かではないが、地下駐車場には常時50人以上が出入りするなど熱気に包まれた。今回の無償譲渡備品数について同課は把握していないが、1000以上と見られる。
 平良の50代男性はキャビネットやロッカーを運びながら「農機具を入れるのに使う。ただでもらうことができるのでうれしい」、建設会社の40代男性は「無償と聞いて作業員にも声をかけて来た。会議用テーブルを探すことができた。重いので運ぶのが大変」とそれぞれ無償譲渡を歓迎した。
 一方、上野の60代女性は譲渡会の様子を見に来たといい「机や棚などはどれもまだ使えそうなものばかり。庁舎を引っ越す時になぜ使おうとしなかったのか、役所の考え方はおかしい」、農業の50代男性は「無償なので来たが、市が使わないのはもったいないと思った。残った机などは廃棄すると聞いたが、処分にもお金がかかり無駄ではないか」と述べ、市の対応に疑問を投げかけた。

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