鳥羽水族館が生息域外保全で飼育しているミヤコカナヘビの展示施設

ミヤコカナヘビ 全国の4動物園で展示

 自然の生息地では絶滅のおそれのあるミヤコカナヘビの保護を目的に島外で飼育、繁殖した個体の公開展示が今年度から、兵庫の神戸どうぶつ王国、三重の鳥羽水族館、茨城のかみね動物園、東京の上野動物園で始まっている。環境省と連携協定を結んだ動物園などが取り組む生息域外保全の一環として行われ、展示を通して希少動物の現状を伝え、保全の意義を訴えている。宮古島市環境保全課は展示開始を受け「生息域外保全が必要なほど危機的な状況を市民にも知ってほしい」と呼び掛けている。

ミヤコカナヘビ


 生息域外保全は絶滅の危機にある生物の生存を脅かす原因を取り除くまで、生息地を離れた安全な場所で飼育・繁殖することによって絶滅を回避するため、環境省が日本動物園水族館協会などと「生物多様性保全の推進に関する基本協定」を結んで行われている。ミヤコカナヘビは個体数が激減していると考えられ、2016年には種の保存法で国内希少野生動植物種に指定されている。
 繁殖も行っている上野動物園は先月26日から、国産希少動物の保全を伝える常設展でミヤコカナヘビの展示を始めた。担当者は「希少動物の保全は動物園として力を入れている活動。展示、紹介することによって保全を呼び掛けていく。最近はカナヘビ自体あまり知られていない。ミヤコカナヘビの色彩の鮮やかさは魅力がある」と話した。
 鳥羽水族館では5月21日から生息域外保全の説明文とともに展示。飼育研究部長の三谷伸也さんは「このままでは絶滅のおそれのある貴重な動物を知らせる大切な役割がある。ただ見せるだけでなく希少な固有種であること、生息域外保全の意義も説明している。小さな展示だがやって良かったと思っている」と話していた。
 生息域外保全では自然の生息地では分かりづらい生態などの科学的知見を飼育下で集積することも目的としている。三谷さんによると3年間で約300頭に増えており、比較的繁殖力が強いことが分ってきたという。三谷さんは「生息環境の改善、外敵が駆逐されれば増えていくのではないか」と期待する。
 固有希少種保全を担当する市環境保全課主幹の守武大さんは「昔はふつうに見られたが急激にいなくなっている。生息域外保全は種を残すため行われており、それぐらい危ない状況にあることを宮古の人たちにも知ってもらいたい」と呼び掛けている。

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