本土復帰50年間で宮古圏域では離島架橋など大型公共投資が展開された=写真は伊良部島から望む伊良部大橋と宮古島 =資料写真

本土復帰50年 沖縄、東京で記念式典

 沖縄は15日、1972年に米国施政権下から日本本土復帰して50年の節目を迎えた。4次にわたる沖縄振興開発計画で社会資本整備による格差是正、自立型経済の構築に向けた施策が展開され、2022年度から改正沖縄振興法に基づく「新たな振興計画」がはじまった。とはいえ、県内には依然として在日米軍専用施設の7割が集中し、基地の整理縮小など負担軽減、普天間飛行場の名護市辺野古移設など問題は山積している。加えて県経済をリードしてきた観光は2年余となるコロナ禍にあって落ち込むなど先行きは不透明だ。「沖縄復帰50周年記念式典」が15日、沖縄と東京で挙行される。 

 宮古圏域は復帰以来、沖縄振興策を基本に平良、城辺、下地、上野、伊良部、多良間の6市町村が地域特性を踏まえた独自の施策と圏域一体となった取り組みを展開し、離島の課題解決のための社会基盤整備が進められた。さらに2005年10月には多良間村を除く5市町村が合併して宮古島市が誕生し、合併特例債などを活用した公共投資が実施された。
 この結果、50年間で国道及び県道の主要道路網をはじめ、宮古本島と池間、来間、伊良部の3離島を結ぶ架橋、平良港湾及び宮古空港整備、下地島空港と周辺残地の利活用、庁舎や劇場、図書館、博物館など公共施設が整備された。
 基幹産業の農林水産業に加え、観光入域客数は年間100万人を超えるなど観光産業がリーディング産業として位置づけられ、リゾート開発やホテルなどの宿泊施設の建設が続いている。
 一方、依然として沖縄本島や全国に比べて所得水準が低く、少子高齢化や平良市街地など都市部への人口流出に伴う旧町村部の過疎化、さらには農水産業の生産者高齢化及び担い手不足などの課題も山積みとなっている。新型コロナウイルス感染拡大の影響は2年余となり、4月以降も感染拡大が収まる気配はなく、回復基調にあるものの観光客はコロナ禍前を下回り、飲食業やサービス業、観光業の収益が低下するなど圏域経済は依然として厳しい状況にある。
 ことし3月末には、政府の改正沖縄振興法が成立。沖縄振興交付金制度や高率補助制度、沖縄関係税制など特別措置の継続・拡充、離島・北部地域振興、子どもの貧困対策、脱炭素社会実現、多様な人材育成のための教育充実、デジタル社会形成の努力義務規定が創設された。
 これを踏まえ、政府は5月10日に沖縄政策の指針となる新たな基本方針を決定。県はこれを踏まえて振興計画を策定する。方針では、「海洋資源の利用、領海や排他的経済水域(EEZ)の保全など、広大な海域に点在する多数の離島が担う重要な役割も改めて認識されている」ことを序文に盛り込んだ。
 県は改正法成立に当たって、コロナ禍で落ち込んだ経済の立て直し、社会・経済・環境が調和した「持続可能な沖縄の発展」と「誰一人取り残さない社会」を目指し、ウィズコロナの新しい生活様式からポストコロナのニューノーマルに適合する「安全・安心で幸福が実感できる島」の形成に向け、県民と一体となって取り組む姿勢を示した。
 また、玉城デニー知事は「平和で豊かな沖縄の実現に向けた建議書」で、自立型経済構築と「基地のない平和な島」の実現、辺野古基地の断念と基地問題早期解決などを求めた。
 15日の記念式典は、復帰の歴史的意義を想起し、沖縄の歴史に思いを致し、沖縄の一層の発展を祈念するもの。宜野湾市の沖縄コンベンションセンター、東京都内のホテルが会場。式典は内閣府の沖縄復帰50周年特設サイトでライブ中継される。

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