下地島で航空貨物輸送 宮古島市委託業務
宮古島市は2022年度事業で、下地島空港を活用した航空貨物輸送体制構築委託業務を実施する。前年度の実証結果を踏まえて改善を図り、宮古空港に続く第2の貨物取扱空港としての可能性を有する下地島空港で、将来の貨物取扱施設整備や国際物流拠点化の取り組みにつなげる。現在、企画を提案する公募型プロポーザルの応募を受け付けており、5月下旬にはプレゼンテーション実施と優先交渉権者を選定し、受託者を決定する。
宮古圏域では亜熱帯地域の特性を生かした農林水産資源が豊富にあり、これまでの農地基盤・施設整備などで生産量が向上している。これに加え、入域観光客数増加で自転車やゴルフバックなどレジャー用品の貨物輸送ニーズが高まり、貨物取扱量は増加傾向にある。ただ、輸出入の間口は宮古空港のみに限定され、農水産物や観光関連及び市民生活に必要な物資の輸送を圧迫する状況にある。
下地島空港は、19年3月の「みやこ下地島空港ターミナル」開業後、国内LCC(格安航空会社)が就航し、20年10月から羽田、神戸などを結ぶ3路線が開設されるなど観光・ビジネスなどの新たな玄関口として旅客数増加が各方面から期待されている。
委託業務は下地島空港の航空貨物輸送体制を構築し、物資輸送状況の改善と、増大する観光関連貨物需要への対応、農水産物の出荷量増加による農水産業振興、移入する生活関連物資両増による市民生活の安定化を図ることが目的。
内容は、貨物取扱路線拡大に向けた航空会社や関係自治体との協議、航空会社と仕向け先ごとの貨物取扱での事業性検証、貨物上屋の適切な整備や運営方法のための調査を行うもの。
21年度事業は、下地島エアポートマネジメント(SAMCO)が、宮古島市と県の委託を受け、宮古圏域の航空貨物輸送の強化・拡充や、環境変化に対応した航空ネットワーク拡充に向けた県内空港を活用した新たな航空貨物輸送による実証事業を実施。
背景には、マンゴーなど農産物の出荷ピークや荒天による海況悪化などで貨物が集中するタイミングで頻繁に滞貨が発生したことや、コロナ禍で宮古空港発着の航空便が減便となり、農産物出荷ピーク時に貨物臨時便が数多く運航される状況があった。
下地島には貨物上屋など取扱施設がないため、空港敷地内に貨物計量や一時蔵置のための簡易施設を設置し、貨物利用輸送事業者(フォワーダー)との連携で貨物取り卸しができる体制を整備し、スカイマークが運航する定期便の一部で貨物輸送を行い、貨物取扱体制構築に向けた調査、事業性を検証した。