伊良部漁協 学校給食に地元食材
学校給食に地元農水産物を活用して地産地消や食育を推進する宮古島市(座喜味一幸市長)の事業の一環として11日、伊良部漁業協同組合が製造したマグロの加工品が伊良部島小中学校の給食に提供された。同漁協は地元での水産物の消費と販路の拡大に向けて市の支援を受けて学校給食用の商品開発に取り組んできた。市では今月からJAおきなわ宮古地区本部の一次加工した野菜の提供も始めており、来年度は食材の公募も計画している。
この日は9年生(中3)が最後の給食のため地元の食材を使ったメニューとして同漁協のマグロのメンチカツ、お祝いの中身汁やクーブイリチーなどが出た。同校では1日にもフィッシュボール、17日にはマグロ入り油味噌をメニューに予定している。
同校の宜保律子栄養教諭は給食に地元食材を使うことについて「伊良部漁協が何度も試作を繰り返し、きょうの給食に提供できた。子どもたちに食べさせたいという熱意でおいしい料理ができた。地元食材で子どもたちを育てることはとても大切。郷土愛も育めると思う。沖縄本島に進学する子もいるので地元の味をしっかりと伝えたい」と話していた。
與那覇盛彦校長も「身近な地元の食材を食べることで、食べ物への感謝の気持ちや故郷を愛する気持ちにつながると思う。給食の地元食材を充実させたい」と期待を寄せた。
同漁協は水産物の販路や消費の拡大を目的に市の農林水産物流通・加工実証事業として学校給食向けのマグロの加工品開発に取り組んできた。長引くコロナ禍の影響で魚介類の売上高の減少が続いており、地元での魚食の普及と増加を目指している。
加工品開発を担当してきた普天間一子さんはメンチカツをおいしそうに食べる子どもたちを見て「島で獲れた魚を給食に提供できた。市や共同調理場の協力で実現できてうれしい」と喜び、「給食を通して魚食が見直されて消費量が増えてほしい。他の水産物のメニューも考えて給食に対応できる体制づくりに取り組みたい」と話した。
市学校給食推進プロジェクトチームでは漁協とJAで同事業を実施しており、今月から各小中学校の給食に食材を提供している。チーム長の上地等市産業振興局次長は「マグロの提供はゼロからのスタートだった。県内でも大規模な共同調理場のある所ではなかなかできないと思う。良い成果が出せた」と話した。次年度は新たな展開として民間事業者などへの食材の公募を予定しており、「給食と共に一般にも広めることができれば」と話していた。