モズクの選別作業を見学しながら説明を聞く座喜味市長(左) =平良荷川取の加工場

座喜味市長 モズク・アーサ加工場視察

 座喜味一幸市長は10日、平良荷川取にある宮古島漁業協同組合(栗山弘嗣組合長)のモズク・アーサ加工場を視察に訪れ、ごみや異物が混入していないか確認する選別作業を見学した。市長は「物を作るというのは大変な仕事」と述べ、生産者の所得向上に強い意欲を示した。また、2022年度産から本格的に養殖が始まった「来間株」モズクも試食。「見た目も歯ごたえも全く違う」と品質に太鼓判を押し、宮古ブランド確立による付加価値向上を誓った。

 市長は水揚げしたモズクや乾燥させたアーサに異物が混入していないか手作業で確認する作業を視察しながら、養殖業の現状や今後の展望について栗山組合長から説明を受けた。
 アーサは特にごみなどが混入しやすく、現在はあえて生産量を減らすことで品質向上に取り組んでいるという。一方でより付加価値の高いモズクに生産者が集中し、養殖業者の数が少ないという課題もある。市長は行政が商品開発を支援して生産意欲向上を後押しする考えを示した。
 全日本空輸の中国向け通販サイトで宮古産乾燥アーサの取り扱いが始まっており、市場拡大に大きな期待が寄せられている。
 モズクは22年度産から宮古島独自の「来間株」生産が本格的に始まっている。市の6割ほどが来間株に移行しており、1網あたりの生産量が2倍に増えた養殖業者もあるという。
 市長らは宮古島漁協事務所で従来の沖縄県産と来間株の食べ比べを行った。従来品と来間株を水に浮かべて比較すると、来間株はより太く、小枝が少なく、色が若干薄く黒というより黄金色をしていることが肉眼でも確認できた。
 試食した関係者らは一様に食感の違いに驚き、市長は「まるでクラゲのような噛み応え。見た目も味も全く違う。宮古島ブランドを確立させ広くPRし、漁業者の所得向上につなげていくことが大切」と付加価値向上・市場拡大に強い意欲を見せた。
 市の海業センターが漁協と連携し、地域団体商標や地理的表示の取得を目指していく方針。
 モズク・アーサいずれも宮古島東岸の養殖場を中心に、大量に漂着した軽石が混入する被害が発生しているという。同漁協は近く、モズクから軽石除去が可能か実験する予定。

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