19日に宮古家畜セリ市場で行われた1月期肉用牛セリ市の様子 =資料写真

肉用牛 上場頭数減少歯止めを

宮古家畜セリ市場に上場される子牛の頭数減少が止まらない。2021年は4056頭で前年比201頭減、セリ1回当たりの平均上場頭数338頭で51頭減。この10年間で約1000頭、平均で100頭近く減り、同市場の上場規模400頭を下回って久しい。農家の高齢化に伴う離農による減少に繁殖牛の増頭が追い付かないのが現状。増頭に意欲的な農家もいるが長年続く減少傾向を転換することは難しく、まずは減少に歯止めをかけることが課題となっている。

家畜セリ市場子牛上場頭数

 平均上場頭数は12年416頭、13年434頭だったが14年には396頭となり、21年は350頭台も割り込んだ。400頭台を下回るなど上場頭数が減少すれば購買者は競り合いが厳しくなり、購入を計画していた頭数も減ってしまい、宮古市場から足が遠のくことが懸念される。
 多良間家畜セリ市場の21年の年間上場頭数は1282頭で114頭減、平均上場頭数183頭で16頭減。ここ10年間、上場頭数1100~1300頭、平均160~190頭と横ばいで推移している。
 20年末現在、宮古島市の繁殖牛飼養頭数は5359頭。市畜産課では上場頭数400頭の維持に向け繁殖牛6000頭を目指す。21年度は優良繁殖雌牛奨励事業の補助を前年度の1農家当たり1頭を5頭に増加。「申込が多く予算を増額したが足りないぐらい。増頭への意識は高い。規模拡大に向けて頑張っている」と手応えを感じている。22年度は新規で母牛更新の補助事業を計画しており「まだしばらくは減るが、減少幅を抑制したい」という。
 同市では小規模農家が多く飼養頭数の増加は難しいと指摘される。増頭には畜舎増設や草地の確保などが必要で、後継者には規模拡大のハードルは高い。市畜産課は1戸当たりの平均飼養頭数を上げることで減少を食い止めようと考えている。「どこに焦点を当てて事業を行っていくか。全体的にどう増やすかが課題」と話す。
 宮古和牛改良組合の荷川取広明組合長も減少に歯止めをかけることが優先とし「増頭を仕向け、奨励する仕組み。増やせる農家を応援するような事業が良い」と意欲的な若手・中堅農家の育成や支援の必要性を挙げる。また畜産に関心のある若者もいるが新規はさらに難題が多く、相談を受けてもなかなか就農まで進めないという。
 このため同組合では近く次世代担い手育成小委員会を立ち上げ、関係機関も巻き込んで新規就農や後継者、中核農家の育成、増頭などについて検討する。「自分たちの子どもが畜産に就農できる土台を作らないといけない」と話していた。

関連記事一覧