井上美香のあんちいーやー⑬働くということ

日々生活の中でさまざまなシーンで接客を誰もが受ける。
ある時その接客に元気をもらえたり心地良いなと感じる瞬間がある。
私がまた会いたいなと思う人がこの宮古にいる。

笑顔がステキな川満のりこさん

 遠く離れた人に郵便や荷物を送りに宮古郵便局へいく。
 郵便担当の川満のりこさん、彼女の接客はスペシャルだ。優しい声のトーン、どんなに忙しくてもいつも目が合うとニコッと笑顔で対応してくれる。
 川満さんは福岡出身で20年前ダイビングが好きで宮古島に移住。ご主人と出会い宮古郵便局に非常勤として勤務して17年になるそうだ。
 いろんな人が荷物を送りに来局するが印象的だったのは熊本の水害の時、目に涙をためて熊本に暮らす娘に水を送る女性が来た。そんな瞬間は一日でも早く届けたいと思うという。
 この職場で働いて良かったことは荷物をお客様から預かり本土に送る荷物は空港へ運ばれ、航空会社も全力を尽くして可能な限り貨物を乗せて各地に届けられる。宮古島内で配達する郵便物は配達員さんが雨の日も風の日もお客さんの元へ届くように頑張っている。そんなみんなの力が一つになることが好きと川満さんは語る。
 窓口に立っていると「この前はありがとうね」とお客様から声をかけてもらえたりするのが嬉しく、切手1枚でも購入していただけることに感謝の気持ちを持って笑顔でいることを心掛けていると言う。私も大切な荷物を川満さんにお願いする時、この方に託せば大丈夫って気持ちになれるのが川満さんマジックなのだ。郵便の他にも保険や貯金の窓口も担当する。いろんなこと勉強しなければならない、今日できなかったことは次の日にはできることが増えたりすることが働く喜びにつながっているようだ。

いつもテキパキ砂川しげみさん

 もう一人は、私が移住してきた時からマックスバリュ宮古西里店を利用する機会が多かったのだがそんな時、いつも快活で元気のいい見るからにベテランのレジ担当者がいる。
 城辺出身の砂川しげみさん(64歳)、勤続19年。41歳になる息子さん、39歳の娘さんを仕事と家事を両立しながら育てあげた。
 砂川さんのレジに並ぶととにかく手の動きが早い。しかも会話をしながらコミュニケーションをしっかりとりながらである。私は時間がなくて急いでいるときは砂川さんのレジに並ぶ。早いコツはと聞くと、レジの画面を見ながらバーコードをスキャンする。音で確認し、身体が覚えているそうだ。
 精算を完了するまでのあの短い間で人生相談まで受けるお人柄。勤務が終わり帰ろうとするとたまたまお客さんと出くわし、介護など多岐にわたる相談を受けるそうだ。長く勤務していれば高校生バイトで入った子が島を出て就職。島に帰って結婚し子供を連れて店に来てくれて、勤務歴の長を物語る。宮古西里店の仲宗根店長はレジのバイトから入り、本採用となりいろんな店舗を経てこの古巣の店の店長になった。バイト時代の指導係は砂川さんだったという。
 店長にとっては砂川さんがお母さんのような存在だと語る。
 9人兄弟の2番目のしげみさん、下の兄弟の面倒も見ていたのでお世話好き。体力にも自信があり、悩みも翌日は忘れる性分なので毎日のように「いつもありがとうね』のお客様の言葉に活力をもらい、70歳まで働くことができるこの職場で自分がやれることをやらせてもらい、、みんなで協力しあって頑張れる職場が居心地がいいと語る。
 イオン琉球株式会社はお客様の声からのお褒めや好事例に該当する従業員に「ありがとう賞」を贈る表彰もあるそうだ。働き手のモチベーションにもつながるいい制度だ。
 そもそも働くとはなんだろう?
 働く目的は?「お金を得るため」が56.4%「社会の一員として務めを果たすため」が14.5%「自分の才能や能力を発揮するため」が7.9%「生きがいを見つけるため」が17%となっている。
 どのような仕事が理想的?の答えを性別に見ていると「自分にとって楽しい仕事」「私生活とバランスがとれる仕事」を挙げたのは女性で「自分の専門知識や能力をいかせる仕事」とあげる男性の割合が高いそうだ。
 私は自分以外の誰かに喜んでもらえた時喜びを感じられる。コロナ禍が長引き、人とのコミュニケーションが寸断されたからこそ感じる業務だけではない束の間の心通う暖かさと心に寄り添う接客に双方がパワーをもらえるのだろうなと思った。

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